物流は観光に次いで、沖縄をけん引する産業として期待されている。沖縄がかつて琉球王国だった時代に中継貿易で栄えていたこともあり、再び物流におけるアジアのゲートウェイを目指している。沖縄に今も残る「万国津梁」の鐘には、「琉球王国は南の海にある蓬莱の島で船を万国の架け橋にして貿易によって栄える国である」と刻まれている。

その目標を実現するための核となるのが、2019年に那覇港公共国際コンテナターミナルの隣接地に誕生した那覇港総合物流センター(第1期)で、那覇港の物流ハブ化にとって大きな役割を担っている。

同センター統括管理責任者の諸見里智行氏は、「沖縄はアジアのゲートウェイとなり得るだけのポテンシャルを持っている。国際競争力を高めるためにも日本の海上物流拠点のハブ港にすべき」と話す。

新型コロナの影響もあって日本経済が低迷するなか、同センター(1期)の総取扱貨物量は開業初年度から集荷計画値を達成。すでにキャパシティも限界に近づいており、2期3期の整備が待たれている。

また、全国の港湾関係者が視察に訪れるなど、注目も集めている。

那覇港の物流ハブ強化は、日本全体の物流効率を高めるだけでなく、沖縄にとっても、本土との海上輸送にかかる物流費を抑えることができる。

諸見里氏は、「本土からの荷物は多いが、沖縄から帰りの荷物が少ないので物流費が高くなる。沖縄が日本の海上物流の拠点になれば、海外からの荷物が、沖縄から本土に送られるので物流費も安くなる」という。

「沖縄をゲートウェイにした場合、日本の主要港の貨物飽和の状態を緩和できるだけでなく、国内の都市間のトラック輸送も大幅に削減することができ、ひいてはCO2削減にもつながる」としている。

◎関連リンク→ 株式会社那覇港総合物流センター