環境の変化や技術の進歩により、物流業界は大きな変革期を迎えている。持続可能な物流を実現するためにも、労働力不足や2024年問題、SDGs、物流DXなど、事業者がそれぞれに取り組むべきことは多い。そのような状況のなか、2021年6月22日にF‐LINEの代表取締役社長に本山浩氏(元味の素常務)が就任し、新体制がスタートした。「『永続的な物流競争力』の実現」をミッションに掲げる同社の舵をどのように取っていくのか、本山社長に話を聞いた。

─労働力不足や2024年問題、SDGs、物流DXなど、環境の変化や時代にあわせて、物流業界が大きな変革期を迎えていますが、F‐LINEではどのような事に力を入れて取組まれていかれるのでしょうか。

正直に思っていることを話しますが、物流事業者が1社だけでできることは限られており、実際はできないことばかりです。我々は与えられた環境で、いかにお客様の要望に応えることができるかが、一番重要なことだと考えているので、「日々の仕事を完璧に近づける」ということを一生懸命に取り組んでいきます。

労働力不足への対策については、やれることを積み重ねて、働きやすい環境をつくる以外に当社ができることはありません。可能性があるとすれば、外国人の労働力を受け入れることですが、政策や制度を変えなければ我々物流業者からは要望を出すこと以外に手立てがありません。

 

─F‐LINEでは2023年までに「持続可能な物流プラットフォームの構築」を目指すということですが、実現する上でのポイントと課題についてお聞かせください。

端的な例でいえば、2018年10月に開設した福岡第一物流センターでのF‐LINEプロジェクト6社(味の素、カゴメ、日清製粉ウェルナ〈前日清フーズ〉、ハウス食品グループ本社、Mizkan、日清オイリオグループ)による共同配送が、当社が理想としている持続可能な物流プラットフォームの形です。

福岡第一物流センターは「F‐LINEイズム」の具現化に向けて取り組んでいる最新鋭の物流センターで、九州エリアの配送ネットワークの拠点として、センター直送と中継配送を組み合わせて、効率的な運用を行っている当社のモデル倉庫となります。
しかしながら、当社が目指している理想論からすると、九州エリアでの共同配送で10%くらいのところまでしかできていないというのが現状です。そのために現在、作戦を練り直しているところですが、簡単にできるというものではないので、100%の実現にまだ10年はかかるとみています。

我々ができることは、10年後を描いた姿を実現するために、できるところから一歩ずつ着々と進めていくことだけなのです。一方で、業界や行政でなければできないことがたくさんあります。

「持続可能な物流プラットフォームの構築」など当社も将来に向けての取り組みを掲げて、業界や行政と同じように格好の良いことを言っていますが、地味でも格好悪くても、できることからしっかりと取り組んでいくこと、当社でいえば「荷物をミスなく確実に運ぶ」ということが、何を行うにしても一番大切なことだと思って取り組んでいきたいと考えています。

◎関連リンク→ F‐LINE株式会社