CADネットワークサービス(東京都中央区)は、「フォークリフトによる死亡事故を0に」を掲げ、VRを活用した安全教育システム「まなVRクラウド フォークリフトパック」を今年9月から発売。大手物流事業者を中心に多くの反響が来ているという。「VRによる疑似体験は動画を見るよりも学びは多い」と語る取締役の多ヶ谷和義氏に話を聞いた。

 

同システムは、フォークや倉庫内を3Dモデルで制作するとともに、作業員やマテハン機器なども配置し、臨場感あるなかで実践的な研修ができるのが特徴。CGのキャラクターが登場し、間違った動作や手順などをビジュアルで教えてくれたり、受講生の手足がVR空間内に登場する演出など、より本格的な体験を可能にしている。

 

また、普段は見ることができないフォークの裏側や構造、事故や異変等も再現している。

 

映像を見る際は視線の選択も可能で、リフト作業員の主観目線や構内作業員の客観目線、全体が分かる俯瞰目線など、普段気づかないポイントに気づけるようになっている。

 

同サービスが目指すのは、「不測の事態を予測可能な事態に」することと語る同氏。「フォークは後進走行時の視角確保が難しい上、狭い通路や複雑な構内で稼働するので事故を起こしやすい。作業者の存在もある」と指摘。「事故に遭うと人は固まってしまい、適切な行動が取れなくなってしまう」としたうえで、「想定外の事態をVRで学び、事故の経験値をアップさせる」と狙いを説明する。そして、「『こうなったら大変』で終わるのではなく、そのときの感情を学び、事故が起きるメカニズムとその対処法を知ることが重要」と付け加える。

 

一般的にVRサービスの導入には価格面やセットアップの複雑さなど複数のハードルが存在するが、「『安い』『コンテンツの種類が豊富』『簡単に使える』という点に配慮した」と胸を張り、「運転の基礎からベテラン向けまで幅広い内容を網羅しており、現在、フォーク向けの内容として7テーマ・100レッスンを目処に制作中」だという。「作業環境も、ドライ、冷蔵、屋外などさまざま。フォークにも種類があるし、扱う荷物によっても作業内容は変わる」とし、さまざまな事例を用意する構えだ。

 

研修後にテストを課す機能も搭載。不合格の場合は同じレッスンを繰り返すことで、必要な知識や経験をしっかりと身につけることができる。「81人分の視聴履歴と学習結果を一覧表示にできる管理機能もあり、組織の習慣化をサポートする」。 目に見える事故数の削減だけでなく、「示唆呼称や目視などの安全行動がだんだんできてくるようになる」という効果も。新人研修に活用すれば、OJTでは伝えきれない基礎をみっちり教え込むことができる。

 

同氏は、「この研修を習慣化することが重要なため、1日3ー5分、週に数回でいいから、通常業務の中にVR研修を組み込み、安全学習を習慣していただきたい」。また、「リフトマンだけでなく、構内作業員の方にも見てもらえれば、フォークの動きが理解でき、危険を回避しやすくなるはず」とも。

 

料金は、コンテンツが30までの「ベーシックパック」が月額1万9800円、同60までの「オールパック」が同3万7800円、同100までの「全3視点オールパック」は同5万8800円。

 

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