スワップボディーコンテナ車を導入し、労働時間の短縮やドライバー確保に取り組む様子を視察するため11月21日、成毛節・岡山労働局長と出口敦・岡山運輸支局長らが鶴信運輸(陰地智行社長、岡山市中区)を訪問。同労働局による「ベストプラクティス企業」訪問に運輸支局が連携して参加したもので、運輸と労働行政のトップが合同で企業訪問するのは中四国地区で初めて。

中継輸送による労働時間の短縮が期待された同車だが、当初は相互利用できる標準的な仕様がなかったために効果は限定的で、普及に弾みはつかなかった。官民でつくる検討会で協議を重ねて2019年3月、ガイドラインが策定されたことで広がりが加速。日本自動車車体工業会も同年10月、相互利用を可能にするJABIA規格を制定している。

鶴信運輸は昨年2月の1号車を皮切りに現在は4台を保有しており、「昨年に発注した車両が年明けの3月に納車される予定」(陰地社長)とのことで計8台の体制になる。その後も年4台ペースで同車を増やしたい考え。

同日の企業訪問ではコンテナの脱着作業を見学したほか、導入効果や課題について意見交換。「20分ほどで着脱作業が完了するため、4~5時間の削減につながっている」(同社長)と荷待ち時間などの解消に加え、けん引免許が不要なことでドライバーを確保する面の効果も挙げた。

一方、デメリットを聞かれた同社長は「通常の車両に比べて1.5~1.8倍になる」と価格の高さを説明。「年間に50台ほどしか作れないことで納車に1年ちょっとかかる。そのために運行計画とタイムラグが生じる」と現状の課題も口にした。

成毛局長は「運輸業界は人手不足やドライバーの負担も大きいが、新しい取り組みをやっている姿を行政としても紹介していきたい」と後押しする考えを示唆。出口支局長も「現場で事業者の声を聞くのは我々の仕事であり、今後の施策に反映したい。貨物事業にはいろんな問題があることは承知しており、思うことは支局へ相談してほしい」と話した。

平成4年創業の鶴信運輸は現在、岡山市の本社など4拠点に計133台の車両を配置。来年には中京地区で3拠点を開設する計画もあり、「働きやすい職場を作るのが一番の目標。管理者は社員のために、社員は顧客のために全力を尽くしていきたい」(同社長)と話した。

◎関連リンク→ 鶴信運輸株式会社