「2024年問題」では、荷主企業にも労働時間短縮への協力が求められている。実際、ドライバーの労働時間が長くなる原因の多くは荷役作業や荷待ちとされており、「手積み・手下ろしや待機時間が長い荷主の依頼を今後は受けない」という運送会社も出てきている。荷主がどのように対応しているのか運送会社に聞いてみた。

 

和歌山県の紀の里農業協同組合(JA紀の里)では昨秋、パレット積み作業にマテハンロボットを導入。同県の岸本周平知事が視察するほど、2024年問題に対応した設備投資を行っている。

 

同JAの青果物を輸送する運送経営者は、「これまではパレットに積み込むのも人力で、大型車では1時間半から2時間程度を要していたが、マテハン機器が導入されてからは、ロボットが箱詰めされた青果物をパレットに積み込むため、ドライバーはラップで巻くだけ。積み込み時間は従来の4分の1になった」という。

 

さらに、「配送先でもパレット下ろしになり、これまでは3ー4時間必要だったものが、いまは4分の1程度で劇的に時間が短縮された。運送会社としては、こうした荷主が増えることを希望する」と語る。

 

一方、大手製麺会社の輸送を行う大阪府和泉市の運送会社に話を聞くと、「現在もカップラーメンなど軽量でかさ張る荷物はパレットを使うと積載数が減るため、段ボール箱で手積みしている」という。

 

このため、「積み込みだけでも1時間半から2時間、手下ろしの時間を合わせると荷役作業で3〜4時間かかる。運行時間を考慮すすると残業を1か月80時間に抑えることは難しく、この仕事は減らさざるをえない」と嘆く。「早期からシートパレットを導入して荷役時間を半分以下にするなど、対応してくれている製麺会社もあるのだが…」

 

飲料メーカーの輸送を検討しているという和歌山市の運送会社。「荷主主導でトレーラ化が進められており、ウイング車でプラットホームに横付けすれば、パレット積みされたペットボトル飲料が一気に荷台に積み込まれ、数十分で作業が完了する。運賃は高くなくとも、大幅な時間短縮は運送会社にとって非常に魅力」だという。逆に、「いくら運賃が良くても手積み・手下ろしで荷待ち時間も長い荷主は、今後、運送会社が避けていくのは間違いない」と話す。

 

2024年問題で運べない荷物も出てくると言われており、荷主側での荷役作業の効率化も重要と言える。