毎年のように発生している大型トラックによる車輪脱落(脱輪)事故。死亡事故につながるケースもあるため、脱落を防ぐための対策を徹底する必要がある。冬用タイヤに交換する11月から脱輪事故が増えるため、脱輪防止対策に積極的に取り組まなければならないが、まずはホイールナットに緩みがあるかどうかをしっかりと点検することが重要となる。

 

大型車の車輪脱落事故防止の取り組みを進めている日本自動車工業会では一昨年末から昨年2月にかけて、ナットの緩み点検が容易にできるようするために、国交省と連携して、「連結式ナット回転指示インジケーター」の活用を促す取り組みを行った。

ホイールナットインジケーターを装着すれば、注意していてもわかりにくいホイールナットの緩みを、装着したインジケータの変形や位置が動くことで誰でも簡単に確認できる。形も連結式やチェックポイントなど様々な種類がある。

 

誰もが一目で確認できるホイールナットインジケーターではあるが、実際に装着しているトラックを見かけることは少ない。自動車整備会社をグループに抱える角田運送(角田正一社長、千葉県市川市)では、保有する全車両にホイールナットインジケーター「チェックポイント」を装着。角田社長は会長を務める千葉ト協でも、会員に勧めるほどその効果を認めている。

では、なぜ普及が進まないのだろうか。

「チェックポイント」を10年前から販売している牧野貿易商会(愛知県名古屋市)の牧野満社長は、「お金がかかるということと、見た目の問題が大きいのではないかと考えている」とし、「ホイールカバーでナットごと覆っているトラックなどもあるので、そうしたこだわりも普及しない要因だと考えている」という。

 

また、同様に国内でホイールナットインジケーターを販売しているチップトップジャパン(オスカー・スパゲルト社長、愛知県名古屋市)では、「先進国でここまで導入が進んでいないのは日本くらいで、他の先進国ではかなり進んでいる」とし、「日本でも大手運送会社が導入すれば、それがスタンダードとなって、普及していくのではないか」としている。

 

「インジケーターの普及にはトラックメーカーの日野自動車や三菱ふそうなどが協力してくれており、新車に無償で装備してくれている」とし、同社では「こうした活動もあって、2〜3年後には普及が進んでいるのではないか」とみているという。

 

◎関連リンク→有限会社牧野貿易商会

◎関連リンク→チップトップジャパン