Futajima Logi(田上圭一社長、大阪市住之江区)は、日本移動販売協会(同北区)の協力を得て、物流業界におけるキッチンカーの普及促進に乗り出している。

同社がある南港地区など物流拠点と言われるエリアの多くでは、食事を取れる店舗などは少なく、そのエリアで働く人たちや待機中のトラックドライバーは、コンビニなど限られた手段での食事を余儀なくされている。そうしたエリアにキッチンカーを展開することで、福利厚生の充実と地域貢献、さらに運送各社にとって新たなビジネスチャンスにつなげたいのが狙いだ。

現在、本社前と、グループ会社でボディープリンター事業を展開するF‐LOOP(同区)前の2か所でトライアルを実施。月曜〜金曜の連日、カレーやパスタ、丼、タコスなどさまざまなジャンルのキッチンカー(フードトラック)が日替わりで出店し、同社の従業員や近隣会社の従業員、トラックドライバーらに専門店のクオリティのランチを幅広く提供している。「トライアルで、どのくらいのニーズがあるか、実績作りをしている段階」と田上社長は話す。

日本移動販売協会の河西大樹理事(写真左)は、「キッチンカーを活用して街づくりのお手伝いをさせて頂いている。コロナ禍で、都会型から郊外型にも広がる傾向にある」と説明。「遊休地の有効活用として利用されることが多い。キッチンカーなら店舗を建てる必要がなく、出店と撤退が容易にできる。お店を次々に変えることができるのが強みで、トライ&エラーがしやすい」と続ける。田上社長は同協会について、「価格帯やマーケティングなどをしっかりやってくれ、場所を育ててくれている。それによりミスマッチを防ぐことができる」と話す。

同事業は、福利厚生の充実や地域貢献以外にも様々なメリットを生み出すという。「例えば、運送事業者の方々が、昼間に空いている駐車場の有効活用として出店場所を提供して頂くことで、わずかではあるがその事業者に対して場所代が支払われる」(田上社長)というのも一つだ。

また、「運搬や据え付け、引き取り、保管など、キッチンカー事業に我々物流企業が活躍できる場所は多くある。それぞれの得意分野を生かしたプロジェクトとして『人とモノと場所の体制づくり』をしていければ、個々の負担も少なくて済むのでは」と提案し、今後、組織づくりを進めていきたい方針だ。

河西氏は「物流エリアでキッチンカーなど移動販売が至る所にあれば便利だなと思う。ランチ難民を移動販売でなくしたい」と意欲を示す。田上社長は、「やりようによっては、上手に自社のビジネスにもつなげて頂けるのではないか。どう育てるか。色々とヒントがあり、可能性がある。一緒にこの事業を育てていただける企業に手を挙げて頂ければ」と展望を語る。

◎関連リンク→ 株式会社Futajima Logi