トラックドライバーは4時間運転するごとに30分以上の休憩をとることが義務付けられている「430休憩」があり、無料で駐車できる高速道路のSAやPAは貴重な場所だ。だが、なかなか駐車することができず、路肩への駐車などが問題視されている。なかでも大型駐車枠に乗用車が駐車し、数少ない枠を占拠されることがトラックドライバーには許せないという声も聞かれる。

 

この現状について東日本高速道路、中日本高速道路、西日本高速道路の3社は高速道路の休憩施設で顕在化している大型車駐車エリアの混雑に対し、駐車マス拡充の取り組みを進めており、2023年度終了時点で全国37か所のSA・PAで約600台の大型駐車マスの拡充を進めるとしている。

 

また、大型駐車枠に駐車する乗用車への対策として、普通車と大型車のどちらでも利用可能な「兼用マス」の整備を進めているが、これについては本来の機能を発揮できていないため、3社では「より多くのお客様が駐車できるように普通車の縦列駐車にご協力いただきたい」と呼びかけている。

さらに、輸送効率向上を目的に整備が進められているダブル連結トラックの予約駐車枠にも、それ以外の車両が駐車するなどの事案が発生しており、これについても注意喚起を行っている。

 

駐車スペースがない場合、ドライバーは次のSA・PAに向かうか、路肩に停車させるかの2択を迫られる。日用品などの長距離輸送を行う運送会社の社長は、「大型枠に堂々と停めている乗用車に注意したことがあるが、『施設から遠い』など理解し難い返事で呆れた」という。「休憩が取れなければ監査時に咎められるのは運送会社。路肩に停車しているトラックを見ると仕方が無い状況ということは我々には理解できるが、一般の方から見たらただの迷惑駐車に見られるため、もっとトラック業界の課題への認知を広めないといけない」とコメント。

 

一方、鋼材などの長距離輸送を行う運送会社の社長は、「乗用車枠にトラックが占拠するように駐車しているのも目にする。自分たちの業界がやめてほしい行為を我々がしているようではお互い様だ」と述べた。

 

働き方改革で労働時間の管理が厳しくなる中、駐停車できず、休憩時間を確保できないのは死活問題で事故につながりかねない。駐車マナーについては各高速道路会社は呼びかけはできるものの、強制力を持つものではないため、悩ましい問題と言える。