低温倉庫を運営する上で悩みの種となりがちなものの一つに電気代がある。夏を迎える今、電気代を意識する場面は多くなりがちだ。物流企業が電気代を意識しているのが他業界にも伝わっているのか、電力会社からは年間を通して季節・月の消費電力変動が激しい拠点向けのプランが提案されはじめている。

全国で初めて同一施設内に三温度帯に対応した戦略的物流拠点として知られるSOSiLA横浜港北は、住友商事グループのサミットエナジー(小澤純史社長、東京都千代田区)が提供する季節別電力メニューを採用し、電気料金の1割削減を実現している。

季節別電力メニューは、通常1年間で最も高い値がベースとされがちな契約電力を、冷蔵・冷凍が本格稼働しがちな時期とそうでない時期とで分けた設定を実現し、変動する電力需要に応じた価格を提案。更に通常超過した際には契約超過金が発生しがちな契約電力の上限にも裕度枠を追加する「ゆとりメニュー」も採用。これらの組み合わせで、大幅に電力コスト削減を実現した。

サミットエナジー営業第二部安齋哲郎課長は、「当社は2001年の創立から蓄えた豊富なデータがあり、AIも活用した年間電力需要予測も可能。設立前時点で予測が可能な企業が足りていないためか、倉庫の新設に伴い相談を受けることも多い。安さだけではなく、豊富な情報からお客様に納得感のある内容を提示できるのは当社の強みであり、お褒めいただいている部分」とし「自社発電施設もあり安定供給体制の構築にも注力している。これからも、適切な運用をお助けしていきたい。大規模倉庫以外にも広く相談を受け付けているので、物流施設に関するパートナーとして、お気軽にお問い合わせいただければ」と話す。

SOSiLAの担当者は、「サミットエナジーの細かい対応が役立った。無駄がなく、納得感のあるユーザー視点での提案で電気料金を最適化することができた。電気料金の削減と合わせて今後は、脱炭素社会の実現に向け環境へ配慮を含めたサステナブルな施設マネジメントを目指していく」とコメントを残している。

同担当者がコメントしている脱炭素社会だが、サミットエナジーは提供電力の中でも再生可能エネルギーを用意しており、それが地球環境を意識した物流企業・荷主企業から評価を受けているという。

小澤社長は、「日本は首相の所信表明演説で脱炭素社会の実現を目指すと表明している。加えて特に外資系の企業は既に、脱炭素社会を意識した再生可能エネルギーを利用することを意識している。自社以外の排出する温室効果ガスにも目を向けており、発注先物流施設・企業の選定にはクリーンエネルギーの利用が、新しい企業価値として注目されるようになりつつある」と分析し「多くの荷主企業がサプライチェーンにクリーンエネルギー利用を求める新たな波が到来する可能性もある。世界的な潮流の中、カーボンニュートラルを意識した物流体制を通じ、未来に備えることも重要では」としている。

 

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