【休暇・休業・休職対応編】㉗

「コロナ禍で頑張る運送業経営者を応援します!」というシリーズで新型コロナウイルス影響の下で「令和」時代の運送業経営者が進むべき方向性、知っておくべき人事労務関連の知識・情報をお伝えしています。

今回は前号に引き続き、休暇・休業・休職対応編として運送業経営者が知っておくべき「お休み」に関する内容および労働関連法の改正に関し解説してまいります。

1.「休暇」とは
「休暇」は元々、労働日であったが一定の事由により労働を免除された日です。

労基法等法定の休暇としては、「年次有給休暇」「生理休暇」「子の看護休暇」 「裁判員休暇」等があります。「年次有給休暇」は「有給」で、休暇の際には「通常の賃金」「平均賃金」等で給与を保障する必要があります。

「生理休暇」「子の看護休暇」「裁判員休暇」等は「有給」か「無給」かについて法律に定めがなく「有給」・「無給」は企業の判断によります。
「特別休暇」(慶弔休暇)は任意の「休暇」となり会社が独自に設定することが可能です。任意であるため、「忌引き休暇」「結婚休暇」等を設定する義務はありませんが、社員への福利厚生という観点で「有給」として有給休暇と別枠で付与する考え方が一般的になってきています。休暇に関するルールに関し就業規則を見直すことが必要です。

なお、「休暇」は労働日に請求できるものであり、元々労働の義務がない「休日」に「年次有給休暇」は取得できないことにも留意が必要です。

2.年次有給休暇について
運送業の経営者から「年次有給休暇」に関する相談が非常に多くなっています。

運送業は他の業種と異なり有給休暇取得の影響が大きいと言えます。1人1車制やルート配送の場合、急な有給休暇取得があると他のドライバーの業務への影響が大きくなります。

有給休暇は労働者の権利でありますが、日頃から業種の特性や会社の事情を説明し、急な請求等にも対応ができるように体制を整備すること、例えば7日前には請求することを就業規則に記載しルール化する等の対応が検討できます。なお、法的には当日の始業時刻までの連絡があれば「事業の正常な運営を妨げる場合」以外は付与する義務がある点に留意する必要があります。まずは会社ルールを就業規則等により整備し、皆で協力し合う仕組み作りをする必要があるでしょう。