【給与DX編】48

「コロナ禍で頑張る運送業経営者を応援します!」というシリーズで新型コロナウイルス影響の下で「令和」時代の運送業経営者が進むべき方向性、知っておくべき人事労務関連の知識・情報をお伝えしています。

前号に続き「給与DX」をテーマに運送業経営者が知っておくべき事項について解説してまいります(その7)。

1.給与モデル
2024年問題へ対応するための給与モデルとして基本給に定額時間外手当、出来高歩合給を活用する体系が検討できます。

給与計算を行う際に、毎月変動する「時間系データ」と「出来高系データ」を把握、捕捉する必要があります。

今号から「出来高系データの」収集、活用方法について説明してまいります。

2.出来高系データの収集
出来高系データにはドライバー各人毎の「月間運賃収入」「店舗立寄件数」「走行距離数」「積み下し回数」「運行別単価・運行回数」「重量」「運送個数」などがありますが、まずは自社の運行に合った適切な出来高を選定することが必要です。

出来高選定の視点として重要なのは「公平性」です。会社への貢献度が高いドライバーの給与分配が高くなるような設定を検討していくことが必要です。

「時間系データ」により適正に時間計算を行うことでコンプライアンス対応を行い、「出来高系データ」により生産性、稼働性、効率性を評価し計算することで公平な給与分配を求めていきます。

会社によっては「運賃」「件数」「重量」など複数の出来高データを組み合わせている事例があります。

そして、出来高系データの選定の際には「収集」「捕捉」可能であることが給与計算事務上、重要です。

「収集」「捕捉」に手間や時間を要するデータは導入が難しいと考えざるを得ません。

中小運送会社で給与計算を行うのは「経営者」か「奥様」「家族」などである場合が多く、あまり手間をかけることも避けた方が良いでしょう。

給与計算の締め切りから支払いは最低10日は空けることが必要です。

「月間運賃収入」については荷主への運賃請求と入金・売上計上、給与計算の締め切りとの間にタイムラグが生じることが問題になるケースがあります。

そのような場合、給与規程などに対象となる運賃(売上高)については〇日締めのデータを活用する旨を記載し年間を通じては収支が合うという仕組みにしておくことが必要となります。