河野トラック(河野敏彦社長、兵庫県姫路市)はこのほど、70トン吊りのトラッククレーンを導入した。事業用のクレーンを配置するのは初めて。スカニア製の大型トラックにイタリア・IDROGRU(イドログ)社のクレーンを装備した同車は国内で数少ない存在で、「能力面から他に選択肢はなかった」(河野修専務)という。

 

超重量物や濶(かつ)大品、特殊形状貨物などが対象のトレーラ輸送に特化した事業を手掛ける同社。8軸の伸縮舵切り昇降装置付き油圧トレーラやマルチトレーラ、コンビネーショントレーラなどを使い分け、顧客ニーズに沿った最適なサービスを提供しているが、「運搬の前後に付いて回る搬入・据え付け作業など新しい分野も切り開きたい」(専務)と話す。

全長9.5m、幅2.5m、高さ3.2mとコンパクトながら、ブームの長さが6mで70トン、最長の18.9mに伸ばしたときの吊り上げ能力は24トン。「狭い建物内などでは従来、門型クレーンを置いた場所までコロ引き作業が必要なケースも多かったが、そうした場面で活躍できる。納期短縮や、コスト削減にもなる」(専務)と期待する。

 

車両重量は28.4トンだが、トラックということで「許可を取れば時速80kmで高速道路も走れるため、時間短縮など業務が効率化できる」と社長。新事業の開始に合わせ、在籍する3人のドライバーが移動式クレーンの免許を取得。「今後も若手を中心に、扱える人数を増やしたい」(専務)という。

 

一方、育児・介護休業法の改正で10月1日から「産後パパ育休」(出生時育児休業)が施行したが、同社では2年前から独自に育児休暇を採用。14人のうち40代以下が11人というドライバーの年齢構成もあり、「この10月に取得したドライバーが3例目で、来年1月に出産予定があるドライバーからは2回目の申し出がある」と専務。本人の希望を聞きながら日数などを決めており、「クレーン操作などスキルアップと合わせ、将来が描ける働きやすい職場にしたい」(専務)と話している。

 

◎関連リンク→ 河野トラック株式会社