【給与DX編】47

「コロナ禍で頑張る運送業経営者を応援します!」というシリーズで新型コロナウイルス影響の下で「令和」時代の運送業経営者が進むべき方向性、知っておくべき人事労務関連の知識・情報をお伝えしています。

前号に続き「給与DX」をテーマに運送業経営者が知っておくべき事項について解説してまいります。(その6)

1.運送会社向けシステム
運送会社の業務に関し、様々なシステムが開発されています。

それぞれ「配車」「運行管理・車両管理」「動態管理」「安全対策」「運転者管理」「運賃請求」「傭車先管理」「労務管理」等の領域をカバーしているものです。

運送会社向けのシステムの多くは貨物自動車運送法で定められている点呼記録簿、点検記録簿、運転者台帳、運行記録・日報等を作成・管理すること及び運賃請求のために設計されたものが多く、「オンプレ型」(サーバーを会社で保有)、「クラウド型」(共通のサーバーでデータを保有)が混在していますが、複数営業所がある会社についてはセキュリティや保守対策で優位な「クラウド型」が主流になりつつあるようです。

弊社では運送会社の給与制度提案、変更に関わることが多くありますが、最近では設計した給与制度について、どのようなシステムでデータ連携し計算・運用をしていくかという相談に応じることが増えてきています。

そのような機会が増えていく中で、複数のシステム会社様と話をしていますが「給与計算」に関してはいくつかのシステムやソフトウェアを連携させて実施するやり方が主流となってきています。運送業の「給与計算」については複雑で、例えば10社とお話したら10通りの計算方法となっているのが実態で、個別性が高いためシステム化が難しいこと、源泉徴収や社会保険料の計算は毎年変更されるため専用の「給与ソフト」に頼ることが必要になるから、と考えられます。

給与計算に必要な情報・データとして①時間系データと②出来高系データの大きく2種類のデータが必要になりますが、②出来高系データの収集について説明してまいります。

2.出来高系データの収集
出来高系データとは「出来高歩合給」の計算基礎・基準となるものをいいます。(出来高を導入していない会社の場合は収集不要です)

ドライバー各人毎の「月間運賃収入」「店舗立寄件数」「走行距離数」「積下回数」「運行別単価・運行回数」「重量」「運送個数」等があり、出来高歩合給の計算のために収集する必要があります。中小運送業の実態としては「データ収集」がシステム化されている会社は少なく、多くはエクセル等の表計算ソフト等を活用し手作業で実施されています。

「勤怠系データ」共に必要とされる「出来高系データ」の収集は「給与DX」に向けて重要な要素です。