全研(林順之亮社長、東京都新宿区)はEC事業者109人を対象に「物流委託先選びに関するアンケート」を実施した。

 

勤め先で物流を委託するきっかけについて質問したところ、「オンライン売上増に伴う物流業務改善のため」が36.7%、「自社では対応できない物流業務を委託するため」が35.8%、「事業拡大のため」が26.6%、「自社で物流業務品質の改善に限界を感じたため」が22.9%、「物流業務以外のタスクにリソースを割きたいため」が17.4%、「その他」が7.3%、「特に理由はない」が8.3%という回答結果となった。その中で、その他の物流を委託するきっかけとして「人手不足」「自社内で商品管理ができない」などの回答が多く見受けられ、物流業界が抱える課題と重なる形となった。

 

Webで物流委託先選びを検討する上での課題を質問した際には、「コスト感が分からない」が46.8%、「自社サービスに合うか分からない」が38.5%、「Web上では委託先を選ぶ決定打が見つからない」が34.9%となった。Webで物流委託を検索する際、自社に見合う最適なサービスが比較できず、使ってみないと分からないことが問題とされている。

物流委託先を選ぶ際に重視する項目について「委託コストを最小限に抑えられるか」が62.4%、「保管方法や設備が整っているか」が40.4%、「自社に合った柔軟なオプションを用意してくれるのか」が39.4%という結果になった。これらの重視する項目以外で取扱の丁寧さや出荷情報などの能力が挙げられた。

 

物流委託を検討する際、平均で何件問い合わせを行うかと質問したところ、5件以上が21.2%、4件が3.7%、3件が32.6%、2件が17.4%という回答となり、複数件へ問い合わせを行う理由として、より良い物流サービスを求めるべく、比較検討したいとする声や、どの物流会社がいいのか分からなかったから情報収集するためなど、自社に最適な物流会社を検討する上で運賃価格や求めるサービスに合ったものを選択するようにしている体系が見受けられた。

 

 

これらのように物流委託するきっかけとして「オンライン売り上げが増加すること」が伴うケースが多く見受けられたものの、前述の通り、Webによる物流委託先選定時の多くの課題が明らかになった。コロナ禍で売上担保をするためにもECに新規参入や売上増加によるオペレーション強化という背景のもと、コスト問題だけでなく、「保管方法や設備が整っているのか」や「自社に合った柔軟なオプションを用意してくれるのか」など、物流委託先に求めることが多様化している。その結果、自社が求めるものに適している委託先か否かを判断する必要な情報が得られにくく、委託先探しに苦労している業者が多数いるようだ。

 

今後、需要が高まっていくであろう物流委託先の選定は、Web上で、いかに自社の強みや他社との違いを明確に伝えられるマーケティング設計ができているのかが顧客獲得の鍵となってくるだろう。

◎関連リンク→ 全研本社株式会社