小集団活動は、職場の風通しをよくし、企業目標を達成するマネジメントである。今回は、小集団活動の実践で経営の危機から甦ったA企業の事例について紹介する。

 

A社の現状

A社は家具小売業として従業員11人、店舗面積200坪、年商2億7000万である。社長は2代目で39歳である。従業員11人の内訳は、店長(男50歳取締役)、販売員兼配送員8人、経理部長(女55歳)と事務員1人である。

社長は、仕事よりも、同業団体の活動や商店街の世話、大学、高校の同窓会やPTA活動に精力をそそいでいて、実務は店長にまかせきりであった。

店長はタタキあげの人で、創業者である先代に鍛えられて、いわば番頭格である。販売、仕入に関してはプロであるが、計数に関しては疎かった。

経理部長の主な仕事は、資金繰りである。しかしいろいろと雑務、たとえば販売の応援とか、見本市への出張もあり、基本的な月次損益表は、作成していなかった。したがって決算のときに、正確な経費把握、損益状況がわからない状態である。

従業員の平均勤続は10年、平均年齢45歳、老舗である。おとなしいタイプの従業員である。

資金繰り状況は苦しく、在庫の過大(月商の4か月分9000万円)でヒイヒイいっていて、したがって損益はここ3年間赤字続きで、経営危機に直面していた。

社長は、経営に身が入らなかった。たまに店に顔を出しても、経理部長からは「お金が足りません。銀行から借金するしかありません」との苦しさを訴えられ、店長とは「売れてますか」「いやーもうひとつですね」のワンパターンの会話で、身の置きどころがなかった。このままでは、じわじわとつぶれていく危機に直面して、社長は、店長、経理部長と相談した。 (つづく)