7月下旬に経産省が主催した全国初の会議体「北海道地域PI懇談会」が札幌市で開催され、北海道でフィジカルインターネット(PI)への関心が高まっている。北海道でいち早くPI構築の重要性を提唱してきた北海道物流開発(札幌市西区)の斉藤博之会長に現状認識を聞いた。

 

同社ではおよそ4年前から「モジュール化した貨物による共同配送と積載・動態情報の管理、マッチングや決済システム」などの構想を固め、社会実装に向けて取り組みを進めている。当時から「北海道版PI基盤の確立」を標榜し、企業ビジョンにも「PIの構築」を掲げている。

 

斉藤会長は「2024年問題が取り上げられ、北海道でも物流への危機感が共有されている。そのような中、新しく発足したPIの会議が全国に先駆けて開催されたことは大きな意味がある。同懇談会では今年度、北海道でPI構築に係る複数の実証を全国で初めて行うと示した。物流危機が進む中、これは千載一遇のチャンス」と話す。

 

今後、重要な取り組みのひとつとして、「競争領域」と「協調領域」の仕分けを挙げる。「北海道の物流はさまざまな課題があるが、特に突端部への物流は『輸送距離が長い』『人口が少ない上、過疎化が加速化している』『荷物の量が多くはない上、片荷輸送となる』など厳しい環境。この分野は物流の協調領域と捉えるべき。一部企業間や各種実証実験では、少しずつ物流共同化の取り組みが進んでいるが、同懇談会の開催を機に、物流課題が顕著な一定の地域の物流を本格的に共同化するべく、具体的に取り組む必要がある。何もしないと、一部公共交通の二の舞となり、物流でも地方では『事業として収益が見込めない』『従事する人がいない』『サービスが維持できない』となってしまう」と警鐘を鳴らす。

 

また、「物流は製配販の経済活動の結果として発生するというのが一般的な理解だが、これからは、『経済活動の結果として発生し、収益を求めていく物流』だけではなく、『地域社会の維持・社会問題の解決のための物流』の議論が重要になる」と述べる。

 

このため、モビリティをオープンかつ効果的に運用し、「社会課題を解決するために物流を効率化する」という考えが必要になってくるとし、モビリティと荷物「1台ずつ・1ケースずつ」の可視化が必須だと強調。これらを可視化するには、すべてのモビリティと荷物を共通の記号で表現し、識別できるよう体系化する(コード化)ことが必要であり、これらが可視化されると「誰が、いつ、どこで、何を、どれだけ積んで走っているか」がリアルタイムで把握できるようになるため「ムダやムラが発生しないよう、モビリティと荷物を効率的に組み合わせていくことが可能になる。これがPIの基本的な考え方で、これからの北海道の物流に必要な取り組み」と主張する。

 

こういった取り組みが進めば、エアラインでは一般的な「コードシェア(共同運航・運行)」もより進み、また、需要に応じて価格を変動させる(また、価格によって需要を変動させる)「ダイナミックプライシング」の導入も視野に入るとし、さらなる物流コストの低減や物流量の平準化が実現できるとしている。

 

「協調や共有ができる領域の範囲を決め、モビリティ等をコード化して可視化を図る。これを物流課題が多い突端部などの一定のエリアで徹底して実行すれば、物流の維持が見込める。また、民間のみで実行が難しいなら、行政機関が積極的に介入して進めるべき。行政が関与すれば、ルールの整備もスムーズにいく」と述べる。

 

◎関連リンク→ 北海道物流開発株式会社