伊藤忠エネクス(東京都千代田区)は2021年からリニューアブルディーゼル(RD)事業を開始。コンビニ配送車両への導入も実現し、さらなる普及へ注力している。

 

RDは廃食油や廃動植物油を原料として生成。同社が海外から輸入したものを国内で販売し、主にトラック・バスでの使用を想定している。温室効果ガスの排出量は、石油由来の軽油比で約90%削減。脱炭素化対応を実現する「次世代バイオ燃料」として注目を集めている。

 

サントリーホールディングスでは、昨年から鴻池運輸や名鉄運輸、臼杵運送など協力企業各社と運行実験を実施。日本郵便やオーシャンネットワークエクスプレスジャパン(ONEジャパン)、F―LINEもトライアルを実施している。

 

第2石油類として軽油と同等の取り扱いが可能で、いわゆる「ドロップイン」燃料として、既存の車両や給油施設などをそのまま使用できるのも大きな特徴。同社環境ビジネス部次世代燃料開発課の向井寛課長(写真左)は、「初期投資不要で脱炭素化への対応ができるのはメリット」と話す。ただし、軽油との混合は認められていないため、「一度使い始めたら長期間に渡ってお使いいただくことになる」という。

 

煤が出ないため、NOx・PMの低減も実現。同社ではAdBlueも取り扱っているが、「RD専用のAdBlueの開発など、事業間での連携を図り、ユーザーへ提案していきたい」と展望する。

 

物流業界でのユーザー拡大には給油拠点の整備が必須となるが、「東京ー名古屋―大阪間の幹線輸送を担えるよう、フリートとの協業により既存のGSから一部を切り替えるなどして、拠点を拡充していきたい」とし、体制を整えていく考えだという。

 

 

同部の渡辺真澄部長(写真右)は脱炭素化について、「2030年には各社が『何かしら手を打たないと』という状況になっているだろう。それを見据え、2025年ぐらいから、このRDがひとつの選択肢としてじわじわと普及している状況を作りたい」と未来を見据える。

 

軽油と比べるとコスト的な課題もあるが、「RDの採用は、脱炭素化対応を実現し、企業価値を高めることにもつながるはず」とし、「商社として他にも商材はいろいろ揃えているので、まずは一度ご相談いただければ」と話す。