個人の荷物や自社製品などを保管する「自家用倉庫」は、第三者の荷物を保管する営業を行うことができない。そんな自家用倉庫の遊休スペースを有効活用する動きが本格化している。この「自家用倉庫」を活用するサービスは、寄託(物を預かって、保管してもらう)を受けた物品を倉庫で保管する営業を行う倉庫業における「営業倉庫」のサービスと何が違うのか。倉庫業法からみて問題は無いのだろうか。

倉庫産業DXの実現を目指すGaussy(ガウシー、中村遼太郎社長、東京都港区)は4月に、シェアリング倉庫サービス「WareX (ウェアエックス)」において、事業会社の自家用倉庫のシェアリングサービスを始めると発表した。

同社によると、国内の倉庫面積は約1万8600万平米とされており、そのうち自家用倉庫は約1万2200万平米(国交省データ等から推計)、全体の約65%を占めているという。

EC市場の拡大で倉庫需要は年々増加傾向にあるが、季節的な物流波動の影響も受けやすく、特に第三者貨物を保管できない自家用倉庫は、閑散期に倉庫スペースが遊休化しやすいという構造的な課題を抱えている。

 

実際に、倉庫スペース全体に対する遊休スペースの割合は、営業倉庫が27%の1730万平米であるのに対し、自家用倉庫は40%の4880万平米に達するといわれており、約3倍の遊休スペースが発生していることになる。

 

そのため、同社では、市場流通していなかった自家倉庫の遊休スペースの有効活用を、「我が国の物流効率化、事業会社における資産有効活用などに資する重要な課題」と捉え、自家用倉庫のシェアリングを検討してきたという。

 

 

同社では、今回のサービスが倉庫業法の規制を受けないことについて国交省に確認を行ったうえで、倉庫利用者が安全かつ安心して荷物を保管することができる自家倉庫のシェアリングスキームを構築したと発表。構築した倉庫シェアリングスキームとは、倉庫利用者が自らの責任で安心・安全に利用ができるよう、同社が作成した自家用倉庫の利用規約に則して倉庫運営がなされるものだとしている。

 

国交省は、「Gaussyから倉庫の空きスペースを不動産賃貸として契約するという説明を受けており、保管責任を負うわけではないので倉庫業の登録は必要ないと確認した」としている。

つまり、倉庫業に該当するかどうかの確認を行った結果、「不動産賃貸としての営業なので、倉庫業には該当しない」ことが確認されたという。その上で、国交省は「あくまでも倉庫スペースを貸しているということなので、営業倉庫であるような形での営業活動は行ってはいけないということは申し伝えている」とした。

 

これについて、同社も「WareXの利用に際して倉庫利用者が営業倉庫と自家倉庫を誤認しないよう、WareX内の倉庫一覧ページ等に自家用倉庫であることを明記し、倉庫利用者がいずれの倉庫を選択しているか容易に認識できるよう表示を整備する」としている。