厳戒態勢で臨んだG7広島サミットが無事閉幕した。開催期間の5月19日から21日と前後1日は、各国首脳の移動に伴って高速道路や広島市内中心部の一般道、世界遺産の島「宮島」への立ち入りなど5日間にわたって断続的に交通規制が実施された。

行政や地元マスコミなどから期間中の「交通総量50%抑制」が年明けから呼びかけられており、市内中心部の交通量は普段より少ない印象。県警によると目立った渋滞は発生しなかったという。一方、労働時間の短縮には高速道路の利用が欠かせないなか、山陽道の通行止めは長距離ドライバーにどう影響したのだろうか。

山陽道は本郷IC(同県三原市)から玖珂IC(山口県岩国市)が交通規制の対象区間となり、県の北部を走る中国道への迂回が呼びかけられた。22日の午前中に全ての規制が解除になり、日常に戻った山陽道・沼田PA。道路上の表示や休憩施設のポスターで交通規制については、話を聞いたドライバー全員が知っていた。

医療関係の荷物を九州から関東に運ぶ久留米ナンバーのドライバーは「40代だがドライバーのなかでは若い。(交通規制の情報を発信する)広島県警のツイッターを小まめに見て、グループLINEに流すのは自分の役目だった」と話す。この会社では高速道路は速度を78キロと決められており、「混雑を考えて休憩を10分ずつに分割して取ることも覚悟していた」というが、迂回した中国道の流れはスムーズ。「山陽道より50分余分に走ったが混雑はなかった」。

唯一、影響といえば「中国道・七塚原SA内の牛丼屋のメニューで売り切れが多かったことくらい。この仕事なので仕入れが難しいことが想像できる」と笑う。なお、荷主も渋滞の可能性を懸念しており、延着しそうならば必ず連絡してほしいと1か月ほど前から通達が出ていたという。

 

また、自動車部品を中部地方に運ぶ北九州ナンバーの50代の男性は「いつも昼ごろに広島県内を走るが、普段と変わらなかった」と安堵の表情。「労働時間を考えると高速利用が必須。通行止めの情報が1時間前など直前でないと分からないのにはまいった。運転中にスマホは見られないし…」と情報提供の手段には不満を漏らす。荷主側に期間中の対応を聞くと「ドライバーに任せる」と言われたそうで、「離れた県の人にとってはヒトゴトだね」とぼやく。

 

九州から愛知県へ精密機器を積んで走るという三河ナンバーのドライバーは「21日朝7時に鹿児島を出たが、本当は土曜日に出たかった」と話す。中国道のSAは混んでいたが、警備員の誘導でスムーズに停車できた。荷主には当社からルート変更を申し出たが、理由はピンと来ていないようだった」と振り返る。