ジー・ジェイ・エクスプレス(大阪府門真市)の福山正治社長。同社は建築資材などの輸送を手掛け、福山社長はJL淀川で理事を務めているが、江坂ボクシングクラブ(同吹田市)の会長というもう1つの顔を持つ。ボクシングとの出会いや、今後の目標などについて聞いた。

ボクシングを始めたのは16歳。親戚に誘われて観戦したボクシングの世界タイトルマッチに感銘を受け、プロボクサーを目指した。デビュー戦は1ラウンド42秒でKO勝ち。目標のタイトル獲得はならず引退したが、江坂ボクシングクラブでトレーナーに転身し選手の指導にあたった。

同時期に、大手ハウスメーカーの引っ越し部門に就職。その後、東京への異動辞令が出た際に、「教え子を置いて行くわけにいかない」と退社を決意した。

ジー・ジェイ・エクスプレスの前身会社に入社し、その後経営難だった会社を買い取って社長に就任。

その6年後には、負債を全額返済しこれからという時に、2018年の台風21号による水害で、神戸営業所の車両が5台水に沈むという不運に見舞われた。様々な困難が襲い掛かったが、ボクシングで培われた諦めない根性がバネとなった。

福山社長は「荷主が火事になり、1か月半仕事が止まったこともあったが、何とか乗り越えてきた。自分がピンチだった時に助けてくれた人の存在も大きかった。諦めの悪さには定評がある」と笑う。社長の波乱万丈の人生は、テレビでも取り上げられた。

ジムは昨年9月に吹田市江坂から岸部西へ新築移転。練習生は100人を超え、昼間は子どもや女性などが多く訪れ汗を流す。1階は、元高校球児で夢を追っていた林隆之代表が営むパーソナルジム「eztoupトレーニングジム吹田本店」があり、筋トレとボクシングという新しいコラボトレーニングから利用者が増えている。

「プロ野球選手の夢を怪我で破れた林代表と、ボクシングをやり切ったけど実力不足で夢破れた私が、未来の子ども達に夢の続きを見ている」という。

ジムでは現在、国立大学大学院医学系研究科に在籍し、このほどプロテストに合格した選手や、RIZINで活躍中の皇治選手、ミュージシャンの強さんらが練習している。

福山社長は「やらない悔いよりやる悔いだと思いこれまでやってきた。ジムの練習生には、何事も続けることが一番大事だと伝えている。しんどい時にしんどい状況に自分を追い込めば、もう1つ上へ行けると信じているので、今後も努力を続けていきたい」と話す。

今後の目標としては「ジムでは15年以内に世界チャンピオンを輩出したい。運送業においては、社員とどんな困難も乗り越えて行けたら」と思いを明かした。

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