運輸デジタルビジネス協議会のワーキンググループで議論や研究を重ね、誕生した業界横断型動態管理プラットフォーム「traevo(トラエボ)」を運営するtraevo(東京都港区)。車載器のメーカーや動態管理サービスが異なる他社の車両も、位置情報や作業状況を自社車両と同様に確認できる日本初のサービスだ。「データは既設の車載器から取得するため、新たな設備投資を必要としないことも特徴」と語る鈴木久夫社長に話を聞いた。

 

「『デジタルバリアフリー』を目指したい」と切り出す同社長。「ドライバーの労働時間や走行距離などのデータを可視化し、データ活用の自由化を図る取り組み」と説明する。

 

収集するデータは、時刻や位置情報、出庫、帰庫、荷積み、荷下ろし、待機、休憩、休息といった作業ステータス、庫内温度など。これらのデータを、デジタコなどの車載器メーカーをまたがって、サプライチェーン全体に届ける仕組みを構築している。導入にあたっては機器やサービスのIDを申請するのみ。

 

 

「多重請負構造の物流業界では、協力会社それぞれが異なる車載器やシステムを利用しており、延着やルート変更などの情報を電話でやり取りしているのが現状」と指摘。「traevoは、ビッグバンで『壁』を壊すのでなく、穴をあけて情報流通を促進するようなイメージ」と表現する。

 

サービスの提供開始からこれまでに、「営業所ごとに異なる車載器を利用している3PL企業が車両を一括管理したい」などの引き合いがあるという。さらに、「ある飲料メーカーからは、約20社の元請けと約200社の下請けの動態管理をしたいと依頼があり、最大で4000台、常時2000―3000台分に導入される予定」。1台あたり月額500円の利用料は、荷主である同メーカーが全額負担するという。

 

同荷主の場合、繁忙期にスポットで走る傭車には、「GPS機器の貸し出し」か「位置情報を取得できるアプリの二次元バーコードの配布」の2通りの対応を予定している。

 

「現在、ネットワーク型デジタコの網羅率は95%以上で、国内のほぼすべてに連携いただいている」と胸を張る鈴木社長。「2025年までの3年間で貨物用車両20万台、事業用トラックの約14%をカバーすることを目指す」と意気込む。

 

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