ライフナビコネクト(福岡県糟屋郡)は、運送事業者向けに「運行管理コンサルティング」を提供している。同社の瓜生尚希社長は、「行政処分の項目が運行・整備管理の実施状況に集中しているのは、その分野の専門家がいないから。当社では、『実務に即した運行管理の運用』を提案しており、事故を起こさない、事業を止めないような手助けができれば」と語る。

 

同サービスでは、帳票の確認や作成支援、定期教育支援、模擬監査などが中心。同社長は、「帳票はト協のものでも都道府県ごとにフォーマットが異なっていたり、PDFを印刷して手書きしているなど、DXとは程遠いのが現状」と肩を落とす。「当社のサービスでは、法令に則り、過不足ない統一されたフォーマットの帳票を提供する。背表紙、マニュアル、雛形など、誰が見ても理解できる保管帳票が作成できる」

同社では、まず、運行管理体制の無料診断を実施。「150項目を3―4時間かけて聞き取り調査する。健康診断のようなもので、課題を早期発見し、現状を知っていただくことで、『完治』につながる」と説明する。

基本的に単発での契約となる。「企業それぞれのニーズや予算に合わせてスケジュールを組む。徐々に回数を減らしていき、自社で適正な運行管理ができるようにしていく」

かつて大手宅配会社のセールスドライバーとして現場業務から九州全体の安全・労務・車両などの管理責任者を務めた経験のある瓜生社長。「大手では当たり前に行っていた運行管理が中小企業では全く行えていない実態に強い危機感を覚えた。配送や管理のノウハウを生かし、大手レベルを一般企業にも浸透させたいと、当社を立ち上げた」と振り返る。

そんな瓜生社長が「運行管理マニア」と評価するのが運行コンサルテイング事業部の井上誠部長だ。同社長と同じ宅配大手に勤務した経歴を持ち、ドラコンでは佐賀県、福岡県大会で優勝した腕前。マネジメントや管理畑でも経験を積んだという。

「一番苦しいのは死亡事故。その現場を目の当たりにしてきた」と明かす。井上部長は、「安全運行は運行管理そのもの。ただシステムを導入すれば良いというものではなく、運用できないと何の意味もない」と語気を強める。「ただのコンサルではなく、ドライバーを守るためにも、実務に則し、運用できる運行管理が必須」と呼びかける。

同社長は、「今後は運行管理システムの開発なども手がけたい」と語る。

業界の未来のための取り組み インターンシップ受け入れ

同社では、若者に物流業界に興味を持ってもらうため、大学生のインターンシップを積極的に受け入れている。「今年度は、福岡大学のゼミである『ベンチャー企業論』の学生3人の参加が決定しており、新入生も含め15人程度を受け入れる予定」だという。
リーダーの浦伊三翔さんは、「自分たちの生活に直結している物流業界がいろんな課題を抱えていることを知った。インターンに参加するまで物流に興味を持っていなかったが、ライフナビコネクト社の取り組みを通じて業界の課題を解決できるのではと感じ、とても興味深く感じた」とコメントを寄せた。

瓜生社長は、「彼らが他の業界に就職したとしても、もしかしたら荷主として物流業界と関わるかもしれない。若者たちに物流のことを知ってもらえれば」と、業界の未来のための取り組みにも注力している。

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