「わが社の実績は昨年の後半、アドブルーの入手が一時的に困難になった際も安定的に供給できたこと」と胸を張る沼本行生氏。遠藤運輸(遠藤博道社長、岡山県和気郡和気町)が2018年秋、本体の事業とは別に立ち上げたアドブルーの製造・販売および、DPマフラーの洗浄などを手掛ける「オプティ岡山」で当初から代表を務める。

 

昨年1月に専用工場の拡張を終え、アドブルーの製造機を1基追加するとともに、より品質を高めるために純水機も導入。設備の増強によって月産16万Lが可能な体制を整えた。コロナ禍で荷動きが低迷している影響もあり、「月によってバラツキがあるものの現在は7~8万L、多いときで10万Lほど」と、まだまだ生産に余力を残す。この先も原料の確保に絶対の自信を見せており、「必ずアドブルーを安定供給できる」と力強い。

そんな同氏が、トラック事業者などディーゼル・ユーザーに助言するのが「2社からの購買」だ。既存の購入先から入手が困難となったものの、その時点では新規購入にも応じてもらえないトラック事業者が続出した昨年を教訓に「仕入れ先を2社に広げることでリスクを減らせる」と指摘。動きを止めるわけにはいかない運送事業の事情を知る立場も踏まえ、そうした自己防衛を提案しながら新規取引の拡大にも積極的な姿勢を見せる。

 

オプティ岡山のアドブルーは、詰まりの原因となるトリウレットを製造段階で除去する特殊フィルターを採用した高品質な製品。結果的にマフラー洗浄のサイクルも長くなり、コスト削減や安全運行につながる。新規購入の際は「使う車両を固定してもらうことで、うちの製品の品質レベルを実感してもらえると思う」と話す。

 

同社が扱うのは基本的に1kLタンクと、20Lが入るバッグインボックスの2種類。貸し出すタンクなどの設備は基本的に無料で、配送エリアは県内全域と隣接する広島県東部、兵庫県西部。それ以外の地域のトラック事業者も工場に立ち寄れば、持参したタンクへの量り売りに応じるという。「とにかく手に入る安心感が一番。全国に80近くの代理店を抱えるオプティグループは安定供給を最優先に掲げている」と説明する。