交通事故は百害あって一利なしだが、公道を仕事場とするトラック運送事業者にとっては、常に危険と隣り合わせでもあるため、事故防止は最優先に取り組むべき最重要課題ともいえる。

ただ、最重要課題とはいえ、その取り組みは一筋縄ではいかない。これといった特効薬がないのが実情だ。

埼玉県内の事業者は、「運転経験の浅い若者が起こす小さな事故に悩んでいる」という。

同社では、定期的に安全会議を開き、事故防止への取り組みの徹底を図っている。「最悪、延着してもいいから、まずは事故防止を優先させる」との方針を打ち出しているくらいだ。

しかし、それでも事故は発生する。「納品先でバックをしているときに軒先に車両をぶつけるなど、ちょっとした不注意からくるものもあれば、居眠りであわや大事故になりかねないものまである」と、同社長は指摘する。

居眠りに関して同社では、「眠気を感じたら、我慢せずにすぐに休憩をとって眠るように指示をしている」という。「多少の延着は会社で対応するから」と、「安全を最優先するように指導しているが、眠気を覚えても『まだ大丈夫だろう』と無理をして運転して、結果的に追突事故を起こしてしまう」のだという。

「絶対的な経験の浅さからくる事故が多い」とのことだが、「若いドライバーが入ってくれることはうれしいが、一方で、事故の多発に悩んでいるのも事実」と苦笑する同社長。

小さな事故ばかりでまだ大事故につながっていないだけに不幸中の幸いともいえるが、「小さな事故が大きな事故につながる可能性は大いにあるので、小さな事故の撲滅がうちの最大の課題でもある」とし、「特効薬があればすぐにでも処方したい」と話している。