コニカミノルタジャパンでは、企業の「働き方改革」を支援している。提供するのは自社で実践したことで得た知見やノウハウだ。同社の働き方改革の取り組みは2013年からスタート。当時から、少子高齢化による人材不足はあらゆる企業にとって将来的な課題となることが予想されていた。この問題に正面から取り組んでいくことになる。さまざまな業種向けにサービスを提供する同社にとって、少子高齢化時代の新しい働き方を自ら実践していくことが財産となると考えた。働き方改革を進めるにあたり、マスタープランを作成。トップとボトムの双方から将来の働き方に関するアイデアをまとめ上げた。

 

「場所に縛られない働き方」を実践するため、オフィスのフリーアドレス化を実施したが、大きな壁が立ちふさがる。業務で発生する書類など「紙」の存在だ。同社営業推進統括部の今井隆広統括部長は、「それぞれの紙には業務プロセスが紐付いている。それこそが人を縛り付ける最大の理由」と説明する。

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この問題を打破するために「保管文書ゼロ化」という大胆なアイデアを実行に移す。紙をアセスメントし、社内で扱われる書類、申請書、稟議書などあらゆる紙を体系立てて分類した。その数は日本全国で富士山の高さを超える膨大なものだった。とはいえ、ただ闇雲にスキャンするだけでは効率化は実現しない。「本当にペーパーレス化する必要があるのは閲覧頻度が高く、保存義務がある紙」と同部長は指摘する。閲覧頻度が低く、保存義務もない紙を手間と時間をかけて電子化する意味はない。取捨選択とあわせて、紙を増やさないメカニズムをつくることも必要となる。

 

同社の働き方改革を象徴するのが「いいじかん設計」の取り組みだ。社員の時間を「作業じかん」「自分じかん」「創造じかん」の3つに定義。自己研鑽やプライベートの「自分じかん」とアイデアを生み出す「創造じかん」を総称して「いいじかん」と呼ぶ。単純業務やマニュアル化できる「作業じかん」を削り、「いいじかん」を増やすことができるように設計していく。削減というネガティブな作業を、目的にために時間をつくるポジティブなものに変換できる。新たな時代の働き方を目指して試行錯誤する中で、「社員の時間の使い方」に着目した。

 

中小企業が働き方改革を進めていく上で、まずはどこから手をつけるべきだろうか。同部長は「経営者の方には自社を知っていただきたい」と強調する。業務や残業の状況など、会社の実態を知ることが第一歩となる。実態を浮き彫りになることで、目指すべき場所が明確となる。働き方改革は目的ではなく、手段にすぎない。会社の規模に関わらず、目的を明確化することで必要な手段も見えてくる。

 

同社では、会社の実態を知るための従業員アンケートにはじまり、ペーパーレス化やテレワーク展開支援、IT導入などの支援サービスを用意。働き方改革を目指す企業の目的達成を多方面から助ける。

 

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