特車申請の現行制度では申請手続きが、申請者や道路管理者ともに多大な負担となっていた。そのため、ITを活用した申請手続きの簡素化が進められ、2022年4月1日から「限度超過車両の新たな通行制度」が施行されることが決まった。そこで、特車申請の新たな制度について、現時点で明らかになっているポイントや、現行制度との比較を行った。

現行の制度では、車両情報入力後に経路情報を作成。申請して、審査が行われて、許可書が発行されて、許可という形で進められていたものが、新たな制度では、ETC2.0をはじめ、車載器管理番号やASL―IDなど車両の登録を事前にしておくと、オンライン上で、出発地と目的地を入れるだけで、自動的に経路を引いて、即時に許可が出る。

この流れを見ると新たな制度はかなり良い制度だと思われる。だが、特車申請を専門に行っている佐久間行政法務事務所(埼玉県さいたま市)の佐久間翔一代表によると、「新たな制度は現行制度と比べてみると、デメリットがある」とし、「結論からいえば、かなり良い制度だとはいえない」としている。

デメリットについて、「瞬時に経路は出るが、許可が出る経路は、未収録道路が無いことが条件となる。国道の収録率が100%、高速道路も100%、県道は66%くらい、市町村道は34%くらいであるため、経路に県道や市町村道などの未収録道路があると自動算定ができないので、未収録道路がある場合は申請の対象にはならない」という。

収録道路と未収録道路の申請の割合については、「収録道路のみで終わる申請は約2割から3割なので、残りの7割の申請には使えない」としており、「現行制度とあまり変わらない」としている。一括表示で許可が取れる道路は、主要道路(重要物流道路+大型車誘導区間)のみなので、つまり、大きな国道や高速道路のみとなる。条件が合う場合でなければ使えない。

また、新制度では、ETC2・0を活用した経路検査、経路確認があり、申請した車両がルート通り走っているのか自動的に確認される。新制度は現行制度に比べて、ほぼ申請が無いに等しいくらい簡単であるため、ETC2・0による経路の確認が必要になったと考えられる。特車ゴールド制度もETC2.0を登録するが、特車ゴールド制度に関しては、「経路捕捉は行っていない」(国交省)としている。

そのほかのデメリットとしては、現行の申請よりもコストが高くなること。あとは経路の柔軟性。基本的に審査してもらうのは、主要道路のみなので、一応、主要道路を出るまでのラストワンマイルは審査されるが、収録道路でなければならない。

佐久間氏は「そもそも、使える申請というのは、全体の10~15%くらいだと考えられる」とし、「問題となっている未収録道路を収録化するための手続きに問題があると思われることから、未収録道路は無くならない。なので、これ以上の効率化は望めない」としている。

法改正が可決された時に特車許可不要となる新しい制度の誕生かと思われたが、効率的な特車申請を行うためには、ノウハウを持った行政書士を通して行うことがポイントとなる。特車申請は行政書士のノウハウの差が大きく出ると思われる。