トラック乗務時の安全教育などに比べ、見落とされがちなフォークリフトの安全対策。フォークリフトの労働災害における死傷者数は毎年2000人前後であるにもかかわらず、作業員一人ひとりの意識に任せきりで、対策を講じていない企業も多いのではないだろうか。

ICタグ専門メーカーのマトリックス(大阪市北区)では、フォークリフトによる労災事故を軽減できる「ヒヤリハンター」を販売している。販売から約6年となるが、顧客の要望でオプションを追加するなど日々バージョンアップしている。

同製品は、ICタグと磁界で衝突事故を防ぐための安全補助装置。ICタグを持った作業員が磁界に入ると警報が鳴るという仕組みだ。磁界の中に何人作業員がいるかが一目で分かる、危険度に応じて警報の方法を変えるなどのオプションを選ぶこともできる。

カメラで検知できない物陰も検知し、導入した企業からは「見えない場所の人に気づくことができるようになった」「作業者とリフトマンの安全意識が向上した」などといった声が寄せられている。同社営業部の塩田浩久主任(写真中央)は「建設業ではテレビメディアの放送をきっかけに、製品が注目された。雨・雪・日光などに影響されないため、物流業でもご利用いただくケースは増えている」と話す。

検知範囲は360度で、検知距離も6段階調節が可能。倉庫や工場などで利用出来る様に開発したICタグは、持ち運びや作業の邪魔にならないコンパクトサイズなのも魅力だ。電池は最長約3年と長持ちし、タグの電池残量を確認する機能も追加されている。

2015年3月に販売を開始してから、現在まで約5000台を導入。塩田主任は「ヒヤリハンターは、IT技術でヒヤリハット対策ができないかと生まれた製品。事故防止対策だけでなく、作業効率が上がったとの声をいただくのは嬉しい。導入していただいた企業の方の声を参考に、さらに改良できるよう取り組みたい」と話す。

 

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