食品コールドチェーン輸送のエキスパートとして事業展開する南日本運輸倉庫(大園圭一郎社長=写真中央、中野区)は、グローバル化と鮮度維持テクノロジーで農水産物・食品輸出入の促進、フードロス、CO2削減など、社会問題のソリューションにも取り組んでいる。一昨年に設立した佐野チルドフローズン物流センター(栃木県佐野市)では昨年11月に保税蔵置場の許可をとり輸出入貨物の取り扱いを開始した。

物流サポート本部で本部長を兼任する寺田哲也取締役(同左)は、「現在の日本は、少子高齢化や人口が減少していく中で消費量自体が増加することは期待できない状況にあり、日本国内のマーケットだけでは今後の伸長は期待できない。そこで輸出入貨物の取り扱い等で業域を広げていこうと取り組みを始めた。昨年、栃木県の物流センターで保税蔵置場の許可をとり、主に食品の輸出入貨物の取り扱いを定期的に行っている」と話す。また、同本部の開発部、内田信也部長(同右)は、「顧客よっては農産品や果物、水産品の輸出を始めようとする荷主・生産者の方が、必ずしも貿易に精通しているとは限らない。その際は、決済はどうするかとか、そういった面も含めてトータルでサポートをしていく」と述べる。

同社では2022年以内に保税蔵置場を増設する計画で「都下や埼玉県西部地域に2か所目、3か所目の保税蔵置場を創るための準備として現在、社員研修会を開き、人材を育成中」という。寺田本部長と内田部長は「輸入保冷食品は、冷蔵コンテナを陸揚げして輸入通関し関税・消費税を一括納付し許可後に卸業者指定の物流センターに納入する会社と、販売店舗別に仕分けして配送する会社の2社が関わり、業務を行っている。しかし、一つの物流会社が保税蔵置場で輸入品を保管し必要な時に必要な量だけ輸入通関し関税等の手続きを行い、店舗配送までをワンストップで対応できれば荷主側ではコストダウンが可能になり、さらに関税・消費税を支払うタイミングの最適化も実現できる」。

食品の鮮度を重視する南日本運輸倉庫ではグループに鮮度保持装置「DANBA+」を物流ソリューションとして販売する合弁会社もある。大園社長は、「日本で収穫する高品質の生鮮品をDENBA+で鮮度を保持し、海外へ輸送できるようにしていく。日本で獲れた素晴らしい果物や野菜、魚介類を美味しくフレッシュなままで、環境にも優しいDENBA海上コンテナ輸送でお届けする技術をもって、〝南日本運輸倉庫が良いとお客様から選ばれる必然性〟を提供していきたい」と語る。

◎関連リンク→ 南日本運輸倉庫株式会社