「コロナ禍で頑張る運送業経営者を応援します!」というシリーズで新型コロナウイルス影響の下で「令和」時代の運送業経営者が進むべき方向性、知っておくべき人事労務関連の知識・情報をお伝えしています。

今回も前回に続き、運送会社で実際に発生した「労務トラブル実事例」とその対応策について説明してまいります。

1.労務トラブル実事例
(1)トラブル内容
日頃から配車に不満を持ち、配車係に「金になる配車をしろ」「もっと楽な仕事をつけろ」などと暴言めいた発言が多いAドライバー(38歳)。

Aドライバ―は自分の都合のみで有給休暇を取得していたが、ある日、ほかドライバ―が有給休暇を取得(病欠)したため、通常より長時間運行の配車(埼玉発→茨城→神奈川→埼玉)になってしまった。

数日後、ほかのドライバーから「Aドライバ―がTwitterにタイムカード画像をアップしている」との情報が寄せられ、確認したところ、タイムカード画像と共に「◯▽(株)、このクソ会社、殺す気かよ」と実社名を手書きで殴り書きした投稿を発見。注意したところ、逆ギレされて削除しないの一点張り。

(2)事例のポイント
本事例はSNSに関するトラブル例です。最近、SNS関連のトラブル例が増加しており、注意が必要です。

Aドライバ―は元々、社内で暴言などが多くドライバー仲間の間でも問題視されていました。性格が自己中心的でほかのドライバーとの協調性に欠ける傾向があったようです。

ある日、ほかのドライバーが病欠となり、埼玉→千葉→茨城→神奈川→埼玉と長い距離の運行を命じられて渋々出庫しました。

同社では、近場の業務では積荷・積下ろし業務が多く、体力的には大変なコースが多いのですが、Aさんが担当したコースは、時間は11時間程度の拘束時間となるものの、パワーゲートのカゴ業務のため、作業量はさほど大変ではないのが特色でした。

Aさんは日頃から自分自身の有給休暇取得に関しては、ほかのドライバーの都合は全く配慮せずに取得しています。Twitterへの投稿の情報を得た社長はすぐ削除するようAドライバーに要請しましたが、Aドライバーは「事実を投稿して何が悪いのか」との一点張りで聞く耳を持たない状況です。

2.対応策
最近、増加しているSNS関連のトラブルをふまえ、入社時に「SNSに関する誓約書」を必ず取り付けることが必要です。誓約書には「社名、運賃条件、労働条件などに関する投稿を行わないこと」「違反の場合は懲戒対象となること」を記載します。また、就業規則にSNS利用に関する条文を設定し、違反を問えるようにすることも重要です。