大成建設(本社・東京新宿区)は、独自に建設現場の静脈物流に取り組み、床材、壁材、天井材といった比較的軽量な建設混合廃棄物を回収・再資源化するシステムを構築、広域認定制度を運用し再資源化率を向上するよう高度化した。結果、2017年4月から2020年3月までの3年間で、前3年間の回収量の約128%、1667トンの回収を達成し、令和2年度資源循環技術・システム表彰として「経産省産業技術環境局長賞」を受賞した。

「1台のトラックが各建設現場を回り、端材を回収するという静脈物流への取り組みは二十数年前から色々な方が何度も取り組んできたが、メーカー同士の壁や法律上の壁が立ちはだかり、乗り越えられずに今まで頓挫してきた」と話すのは、大成建設建築本部の技術部建築技術室の次長で、環境技術チームリーダーでもある竹尾健一氏。

「1現場で出る1メーカーの端材の量は一度に大量に出るわけではなく、さらには他の端材と混ざった状態なので、結局、再資源化されずに埋立処理してしまう状況になっていた。しかし今回は、大成グループの物流運営受託会社、ネットワーク・アライアンス(NAC、東京都千代田区)を、メーカーの工場と建設現場の間に置くことで課題を解決した」と竹尾次長。

NAC営業部の長谷川洋介課長は、「3PL事業を行っているNACが運送協力事業者を手配し各建設現場との契約も結んでもらうことで、その運送協力事業者のトラックは共通運搬会社として、NACの指示を受けて複数の建設現場を巡回回収を行い、NACが指定した積替拠点に搬入する。そこでそれぞれの端材ごとに一時保管し、一定量になったらメーカー各社指定の物流事業者に製品納入の復路便などを利用して取りに来てもらうという仕組み」と説明する。「現場と積替拠点間の一次運搬、積替拠点とメーカーの受入工場間の二次運搬という二段階の回収システムにしたことで、石膏ボード、グラスウール、岩綿吸音板、床材などの回収も、効率よく運搬でき、端材を建材資源として再資源化できるようになった」と話す。

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