第275回:令和時代の運送業経営 管理職編(73)
【監査・調査対応編】73
「頑張る運送業経営者を応援します!」というシリーズで「令和」時代の運送業経営者が進むべき方向性、知っておくべき人事労務関連の知識・情報をお伝えしています。
今号は公的機関への対応という観点で公共職業安定所(ハローワーク)への対応について解説します。
1.離職票の区分について
ハローワークの離職票は倒産、定年、期間満了などを除けば「労働者都合によるもの」(自己都合)と「事業主からの働きかけによるもの」(会社都合)に大別され、受給までの待機期間(待機7日+給付制限2か月)と失業保険給付の日数について会社都合の方が優遇されます。
そのため、退職するドライバーから「自己都合」で退職したにも関わらず、「会社都合」扱いにしてほしい、といった要望を受けることが多々あります。
「自己都合」か「会社都合」かについては、ドライバーの要望で決めるものではなく、「事実関係」「実態」によりハローワークで決定されます。
2.実務上の留意点
失業給付を早く受給したいために「会社都合」扱いを要望された場合でも、事実関係が異なる場合には毅然とした対応で問題ありません。
ドライバーの場合、退職から次の会社への就職まで空白期間がない場合が多いので、すぐに転職する場合は「会社都合」とする労働者側メリットはありません。
なお、「会社都合」とした場合には、次の就職先において、例えば「離職票」「退職証明書」などに「会社都合で退職」した旨が記載されることについて、聞かれることとなるという点を説明することは効果的です。
一般に退職時に「退職届」を提出して退職したケースは「自己都合退職」です。
会社側の判断基準としては「退職届」を受領しているかがポイントとなりますので、ドライバー側の事情で退職する場合には必ず「退職届」を受領する必要があります。
「事故やトラブルで会社ともめた場合」などで欠勤が続いたために「退職」扱いにする場合で、本人と連絡がつかない場合、必要に応じて自宅へ訪問する、保証人に連絡する、〇月〇日までに連絡がない場合は自己都合退職扱いとなる旨の配達記録郵便などを出すといった方法で退職に至った経緯を記録しておくといいでしょう。
なお、会社都合の解雇を行った場合の会社側の留意点(デメリット)としては「助成金受給」に支障が生じる点です。多くの助成金が「6か月以内に会社都合による解雇等をおこなっていないこと」を条件としているからです。
このため離職区分については「事実関係」がポイントとなります。
なお、助成金受給をしていない会社の場合は「会社都合」扱いの離職についてのデメリットは特段ありません。
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