国交省は6月28日、新たな総合物流施策大綱の推進に向けて「総合物流施策大綱(2021年度~2025年度)」に関する報告会を開催。同月15日に閣議決定された同大綱の報告と今後の推進体制等が議論された。

冒頭で、国交省公共交通・物流政策審議官の久保田雅晴氏は「本大綱はこれまでの大綱と異なり、経産省と農水省と強力な連携を図って、有識者や関係事業者と交えた推進体制を築き、初めて数値目標を決めて取り組んで行くことになる。関心が高まっているこの機を逃さず、しっかりと推進していきたい」とあいさつ。

農水省大臣官房参事官の安楽岡武氏は「今後の農林水産品の安定供給のため、国交省と経産省と連携して、共同輸配送、流通拠点の整備、自動化・省人化、連携基盤の整備等の効率化・標準化を推進して流通の合理化を進めて行きたい」と述べた。

国交省道路局次長の宇野善昌氏は「道路施策の観点からも施策を推進していきたい」とし、「特殊車両の通行手続きの即時処理を可能とする制度の早期の運用開始に向けた取り組みの推進、ダブル連結トラックの利用促進、休憩中継施設の充実、物流を支えるための道路機能の強化などに取り組んでいく」とした。

経産省商務・サービス審議官の畠山陽二郎氏は「物流が直面する危機を乗り越えるためにはサプライチェーンに係る全ての関係者、特に荷主企業が主体的に取り組んでいく必要があると認識しており、経産省としての果たすべき役割は非常に大きく、物流大綱の確実な実行が何よりも大事だと思っている」と話した。

報告会では、同大綱の新しいポイントとしてKPIが設定されたことに言及。例として、2025年度には、物流業務の自動化・機械化やデジタル化に向けた取り組みに着手している物流事業者の割合を100%、物流DXを実現している物流事業者の割合を70%に設定していることを報告した。

また、今後の進め方については、従来のように行政ベースで推進するのではなく、有識者や関係事業者等を交えた政策評価の場を設け、年度末に1回程度開催し、その時点のKPI数値を把握したうえで、過去1年の取り組みを見直し、今後1年間に向けた取り組みについて意見交換を行いたいとしている。

報告会の最後に、すでに着手した取り組みについて、6月3日に加工食品分野における物流標準化アクションプラン・フォローアップ会を開催、6月17日には官民物流標準化懇談会の第1回の会合を開き、まずはパレットの標準化について分科会を設けたうえで具体的な議論を進めていくことが決定され、4月27日には物流連との共催で「高度物流人材シンポジウム」を開催したことが報告された。

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