業務の管理や部下の育成など、管理職の業務の幅は広い。また、管理職は自分自身が安心して仕事を任せることができる人材を育てることも求められる。しかし、自身の立場が危うくなることを危惧し、自分の仕事を引き継げる人材を育てられないというケースも見られる。一時的には管理職がすべてこなせば業務はまわるが、長期的に見ると、いつまでも人材が育たず企業の成長が見込めないという事態に発展してしまうことになる。

このような結果を招かないためには、担当している仕事を「自分でなければならない仕事」と、「一般社員でも出来る仕事」に分ける必要がある。ただし、部下の仕事が遅いなどという理由だけで、仕事を取り上げたりすることは望ましいことではない。

大阪府の事業者のある管理職(40代)は、かつて所属していた運送会社で上司だった管理職のことを反面教師にしているという。「その管理職は、とにかく自分の保身しか考えておらず、トラブルが発生すると、『おまえがやったことだから自分で責任を取れ』と責任から逃れようとする人だった。また、社内の課題解決について、改善できていないと文句だけ言い、あとは部下に丸投げだった。管理することは文句を言うことではなく、部下を正しく導くこと。私はその人のようにならないよう、ただ優しいだけの上司にもならぬよう、会社の未来のためにも部下を育てていきたい」と話している。