企業にはさまざまな人材が働いており、性格なども十人十色。全員と関係が良好という人は少ない。少し話しづらい人や苦手な人がいても、ある程度は妥協して働くしかないが、人間関係で大きなトラブルに発展するようでは会社の貴重な人材を失うことにもなりかねない。

大阪府の運送事業者では、かつて1人の問題社員によって社内をかきまわされた経験があるという。「業務命令に従わない、同僚との口喧嘩、荷主先でのトラブルなど枚挙にいとまがなかった。そのため、社員一人ひとりとの面談を行うようにしたことで社内のトラブルにいち早く気づけるようになった。問題社員には真正面から何度も指導を行うことで、社内の規律は守るという毅然とした態度を示すことができた」と話す。

また、別の運送事業者では、かつてドライバー同士で金銭面のトラブルがあったという。「先輩社員が独身の後輩社員にお金を借りようとして、後輩社員が困っているという話を他の社員から聞いた。当時は就業規則に『社員同士の金銭の貸し借りを禁止する』という項目がなかったため、社員が1人で苦しむことになった。就業規則を改定したことで、断る口実ができたのでその社員はホッとした様子だった。お金のことで揉めると人間関係が壊れることは明らか。トラブルになるような事態はできるだけ会社側で防ぐようにしておかなければいけない」と振り返る。

社員同士の仲違いや嫌がらせ、会社の誹謗中傷など、トラブルの可能性はあらゆる所に潜んでいる。経営陣は社員同士の人間関係をしっかりと見極めることが大切であると同時に、人材を失わないためにも、常に変化を見逃さないことが必要だ。