トラックやトレーラを投資対象とする独自の金融スキーム「トラックファンド」の立ち上げから5年という節目を迎えたリアライズコーポレーション(東京都港区)。ファンドの規模は350億円を超えた。現在、約3800台の車両を運用し、300社以上の運送事業者が活用しているという。「トラックを持たない運送経営」を提案する今福洋介社長に話を聞いた。

同ファンドでは、新車・中古の車両を投資対象として投資家を募り、集まった資金で取得した車両を運送事業者にリースし、そのリース料を源泉として投資家に配当を行っている。

同社長は、「飛行機や船舶では以前からこのような仕組みがあるが、ほとんどの資金は海外に流れてしまう。当ファンドでは、投資家は車両が必要な運送会社に投資でき、国内での還流につながる」と胸を張る。

 

同ファンドのスキームを利用した、借り手が車両を保有しないオペレーティングリース「R・リース」は、トラックやトレーラでも展開。自己所有ではないため、修理費や自動車税などの負担がなく、会計上も資産や債務の計上が不要。「古い車両を修理しながら『少しでも長く』と乗られていたユーザーも、リースにすることで修繕費が浮き、新車に切り替えられるなどメリットが多く、『車両を手放すことに抵抗があったが満足している』という声をいただく」と明かす。「保有されていた車両を当社に売却してリースバックし、M&Aの買収資金に充てるなど活用法は多岐に渡る」という。

「賃貸住宅に住む理由は、経済面だけではなく、引っ越しが容易だったり、家族構成や職場の変化に対応しやすいといった賃貸ならではのメリットがあるから」と不動産を例に挙げる。「他の業界では『借りる』ことはごく自然にあるものだが、運送業界におけるトラックは慣習が他と異なっていた」と分析。「車両の賃料は決まった額なので、『その荷主の案件は黒字になるか』が計算しやすい。そのような点がトラックリースのメリットの1つ」。

同社スタッフは運送事業者のもとに赴き、直接、経営課題をヒアリングした上で提案するという。今福社長は、「運送事業と財務に精通したスタッフが経営改善の相談に乗っている。銀行には言いにくい話でも相談してほしい」とし、「トラックリースの本当の価値を提供したい」と語る。

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