「ここ数か月、これまで経験したことがないレベルまで荷動きが落ち込んでおり、こんな状態であのときみたいなことになれば大変だ」と自家タンクを持たない西日本地域のトラック事業者。いま気になっているのは、結構な幅で値を上げる軽油価格の動向。振り返って〝魔の2008年夏〟といわれる軽油が暴騰した当時、同社が購入するスタンド価格はリッター157円に跳ね上がった。「あのときは救済措置として国が中小のトラック事業者に上限100万円をばらまいたが、いま一度お願いしたい」と訴える。

同社に今年3月、取引する軽油ディーラーから「前月比でリッター8円以上の値上げやむなし」という趣旨の手紙が届いた。「そのうち下がり始めるだろうと予想していたが、その期待は裏切られた」と社長。燃料が高止まりするなかで資金繰りも厳しくなっているが、7月に入ってまたも届いた1枚の紙切れ。同月1日以降に販売した軽油について「前月比で同6円以上の値上げになる見通し」と書かれていた。

「中間にいる我々にはコロナ関連の支援はないが、エッセンシャルワーカーの立場に燃料コストの国費負担があっても不思議ではない。あの当時、国が1社につき100万円を上限に実施した『燃料費補助』を、いま一度やってほしい」と訴える。2008年度の補正予算のなかで、国が燃料高騰対策として35億円を用意した「中小トラック事業者構造改善実証実験事業」。表向きは省エネに取り組むトラック事業者を支援するというものだった。

当初は20台以下の小規模事業者が対象とされたが、のちに中小企業へと拡大。当時は荷動きが芳しくなかったことで軽油の消費量そのものが減っており、結果的に受給に必要となる「概ね5%以上の燃費改善」というハードルをほとんどの事業者がクリア。軽油の使用量によっては上限まで届かないケースもあったが、申請さえすれば最大100万円を受け取ることができた。

自家給油施設を保有している同地区のトラック事業者も「7月分で100円の大台に乗ってしまった」と明かす。輸出の早期再開が見通せなくなったというイラン大統領選の結果や、北半球が夏のドライブシーズンを迎えて燃料の需要が高まるとの期待感もあって――といった石油業界の事情も示されてはいるが、「顔も出さずに紙切れ1枚で『やむを得ない値上げ』が通用する商売がうらやましい」。荷主である製造会社も生産が回復していない状況にあることで、同社では「燃料サーチャージの件は切り出せそうもない」(社長)と話している。