【監査・調査対応編】65

「頑張る運送業経営者を応援します!」というシリーズで「令和」時代の運送業経営者が進むべき方向性、知っておくべき人事労務関連の知識・情報をお伝えしています。

今号も前回に続き「監査・調査対応編」として、労基署等への調査対応について解説してまいります。

1.調査内容
労基署の調査が入った場合には何らかの指導が入ることがほとんどであることが実態です。労基署は地域の労働に関する監督指導機関です。労基法違反や労災・労働安全衛生に関する指導を行い労働環境の改善を図ることを目的として設置されています。

重点的に調査をする対象業種を選定しており、2024年問題を控えた「運送業」が選定されているようです。

背景としては脳疾患・心臓疾患に関する労災支給が多数発生しており、長時間労働を是正し労働者を保護する必要があること、2024年の時間規制に向けた取り組みが必要だからです。

そのため運送業での調査項目としては「労働時間」に関することが多くなります。

定期監督の場合には「改善基準告示」に関する違反や労基法に関する事項の是正を求めてくる傾向です。

重大事故や労働者の健康を損なう恐れのある事項について大事に至る前に「未然に防ぐ」という観点での指導が中心になります。

「改善基準告示」は告示基準のため違反があった場合でも罰則はありませんが「是正勧告」の対象になります。

2.調査への対応
労働時間に関しては拘束時間管理表(一覧表)等、ドライバー全員分の「拘束時間」「運転時間」「作業時間」等がまとまっている帳票があるといいでしょう。

長距離系の会社の中には調査で実際のデータを提示することに抵抗があり、一覧表の作成、準備を怠る会社も多いですが、監督官の視点に立てば時間数が「分からない」「把握していない」会社より、多少違反があっても「データ化されている」「把握されている」会社の方が心証がいいでしょう。