インテグループ(東京都千代田区)は、完全成功報酬制でM&A仲介を手がけている。同社の佐藤優哉氏は、「一般的なM&A仲介では、着手金や月額報酬、中間金など、M&Aが成立しなかった場合でも一定の料金が発生することが多いが、当社は成立した場合にのみ報酬をいただいている」と説明する。

 

「完全成功報酬制であるため、着手金や中間金ほしさに、赤字や債務超過などマッチングの条件が厳しい売り手にも、『頑張ってみます』といった『その場しのぎ』の言葉をかけることもない。厳しい場合は、正直にお話しする」という。「だからこそ、案件として動き出せば、必ず決めるという気概で臨んでいる」とも。

 

また、「売り手側だけでなく買い手側にも同じ料金体系を採用していることに加え、最低報酬額が1000万円というのも特徴」と語る。

 

同氏は、「多くのM&A仲介会社では、売り手と買い手で最低報酬額が異なることも多く、買い手側は2000万円からと設定されていることも少なくない」と指摘。双方とも同じ1000万円であることのメリットについて、「買い手が集まりやすく売り手が多くの相手から選べること、当社への手数料を抑えることで売り手への支払額が増えること、などが挙げられる」という。

 

物流業界で問題となっている2024年問題。同氏は「M&Aにも非常に大きな影響を及ぼしている」と明かす。「直近の相談件数・実績は、ともに非常に増えている。規制強化される前に売却したいという経営者さんの駆け込み需要と言える」。

 

同氏は、「20台以上の規模であれば、シナジー効果が出やすいため買い手がつきやすい」と説明。「売り手側は40―50代の創業オーナーから合理的思考タイプの2代目社長まで幅広い層」とし、「若い経営者の場合、買い手のグループ会社に加わり、雇われ社長として経営に継続して携わるパターンもある」と事例を紹介する。売却に要する期間は、「規模によっても異なるが、中小規模であれば、本格的に動き出してから3―4か月」だという。

 

2022年8月に、食品配送と倉庫作業の人材派遣を手掛けるシュライン物流(長坂晃匡社長、福岡県宮若市)と同社の主要取引先だった福岡運輸(富永泰輔社長、福岡市博多区)との間でM&Aが成立。この案件も担当した佐藤氏は、「協力会社から大手グループの一員となった成功事例」と振り返る。

 

「経営者自らハンドルを握り、『連休をとってみたい』という本音を聞くこともよくある」と寄り添う佐藤氏。実家の家業が運送会社だという。「会社には思い入れがあるはずなので、理屈だけではなく、そういった面にも配慮している。M&Aは乗っ取りではなく友好的なものということを広く知ってもらえれば」と語った。