従業員の健康管理を経営的な視点で考え実践する健康経営について、特に優れた企業を顕彰する健康経営優良法人認定制度。3月11日に今年度の結果が発表され、中小規模法人部門では全国で1万6733社が認定された。このうち運送業の認定数は昨年から微増し、1271社となった。ドライバーの高齢化や、健康起因事故を防ぐ面でも、ますます重要になる従業員の健康保持。これを計る一つの方法としても、業界内で認定を目指す動きが年々活発になっているようだ。

 

同制度は、優れた健康経営を実践する企業を見える化し、取引や求人などの場面で評価を受ける機会を整備することを目的に経産省が2016年に創設。社会全体で健康意識が高まり、経営面でも従業員の健康の保持、増進が重視されるなかで認定数は年々増加している。

初回の2016年度に審査された「2017版」では全国で318社、このうち運輸業(旅客事業者含む)は16件が認定。近年、運輸事業者の申請も増加し、今回は1271件が認定。昨年の1089件から1.2倍に増加しており、初回の認定数と比較すると77倍で、早いペースで制度が定着してきた様子を窺わせる結果となった。

 

また、健康経営の取り組みを地域へ発信することが条件となる上位500社「ブライト500」(21版から新設)は、運輸業では今回44件が認定。毎年8%にあたる約40社がブライト認定されており、通常の部門で複数回認定された企業の新たなステップとして、ブライト認定を目指す経営者も多いのではないだろうか。

 

なお、大規模法人部門では全国2988社が認定された(上位500社は「ホワイト500」の冠が付加)。倉庫・運輸業関連では25社が認定。このうちホワイト500には18件が認められたが、多くが旅客事業をメインに行う企業となった。

 

特に運輸業は高齢化に伴って、従業員の健康保持が重要な課題だ。一方、トラックドライバーは健康なら働ける期間が延びるという魅力もある。双方への対応を社内外にアピールできる点でも、運輸業界で同制度の認定を目指すことがスタンダードになりつつあるのかも知れない。

 

◎関連リンク→ 健康経営優良法人認定制度