静岡県浜松市に本社を構えるサム工業(平野茂之社長)ではこの5月から野菜直売店「四季菜柑(しきさいかん)」をオープンし、地域住民から好評を得ている。

同社が野菜直売を開始したのは約4年前からで、青果物を輸送する立場から「何かの形で地域へ恩返しをしたい」との考えで2坪ほどのプレハブ小屋でスタート。「おいしくて安い」という評判は瞬く間に地域へと広がり、「スーパーなどに客が流れるなかで昔ながらの八百屋をすることが夢だった」という社長の思いを形にする今回の運びとなった。

仕入れ先については、生産者はもちろんのこと良質の野菜があると聞けば現地まで赴いて買い付けを行い、さらに家庭菜園での収穫もその対象にするなど幅広く対応。取材当日も平日の雨模様ながら午前9時30分のオープン前には利用者が列をつくり、「毎日来ている」「大変助かる」といった言葉が聞かれた。

またグループ企業であるエスピーシー(同)では食品加工・アウトパック業務等を展開。「仕入れた青果物を自社グループ内で加工し、輸送まで行う」という一連の流れは人・物・輸送の好循環を促し、店での接客や加工の手伝いも自ら行っている平野社長は「直接利用者や働いてくれているパート従業員と接することで、以前に比べて性格が穏やかになった気がする」と自身における変化を語る。

今後に関しては四季菜柑の二号店、三号店のオープンを見据えながらドラッグストアにおける自社ブランド野菜販売も予定する同社。

店内では新鮮な野菜たちのほかにパートが作成したというフラワーアレンジメントやエコバッグが並べられ、「みんなでつくった店」と社長が表現する四季菜柑の活気を支えている。

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