【小説】運送業界の風雲児!~運送業界は俺が変える~ 第八話.岡野、家出する。
第八話.岡野、家出する。
中学生は、人生においてのひとつの分岐点だ。
小学生ほど子供でもなく、高校生ほど大人寄りではない、丁度大人と子供の境目。
そして、不良に憧れを抱く年齢でもある。
というわけで、不良の道へと突っ走りだした俺は、ここでモテ期到来。
背が高く、自分で言うのもなんだが、顔もそこそこイケてた俺はモテた。
胸を張り、肩で風を切って歩けば、貧乏で忘れん坊の弄られっこから、不良で喧嘩が強くカッコイイ、に周りはあっという間に評価を変える。
どんよりしていた日々が夜のネオンみたいに輝きだした。
不思議なもので、弄られて我慢をして登校拒否をすれば陰キャのレッテルを貼られるが、やられたらやり返し、堂々とサボれば、ちょっとワルで恰好いいになる。
勉強しなくても馬鹿になんてされない。
学校に行くのに胃がキリキリすることも無くなった。
不良を推奨するわけじゃないが、少なくとも俺にとっては、グレた事が人生の転機となった事は確かだ。
『貧乏』と『勉強ができない』と『親無し』という糸に、雁字搦めになって萎縮をしていた俺は、『不良』という名のナイフによってその糸から解放された。
「カノくんってさー、ちょっとカッコいーよね」
なーんて言われれば、そりゃ悪い気はしない。
因みにカノくんっていうのは俺のあだ名。
モテ組とは、すなわち勝ち組だ。モテる事で俺の自信はどんどん回復していく。
貧乏だからとか親が居ないから遊べない、なんていうやつは周りから消え、代わりに不良仲間が増えた。
ワケアリなやつも多いから、貧乏だろうが親がいなかろうが、やつらは気にしない。
親のこと、家のことを抜きに遊べる友達は、気が楽だ。
毎日が超楽しくなった。
馬鹿をやって、時々喧嘩なんかもして。
不良仲間と一緒に、深夜まで遊び、堂々と学校をさぼった。
そして夜遊びは家出に発展する。
今はゲーセンもスーパー銭湯なんかも、2016年以降は青少年育成条例違反となる為、18歳未満は親同伴でも利用できなかったりするが、当時はそんな法令も無くて、俺はチャリで近くのスーパー銭湯に入り浸るようになっていた。
夜遅くまで遊び倒し、スーパー銭湯で風呂に入って休憩所で寝る。
別に、姉ちゃんたちに不満があったわけじゃない。
ただ、解き放たれたような自由が楽しくて。
自由に生きることは、気が楽で。
理由なんて、そんなものだった。
半年ほど、そんな家出生活をつづけたある日。
「ちょっと。君、中学生? 学校はどこ?」
――俺は、補導員に捕まった。
to be continued…
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次回更新は6/12を予定しています。 お楽しみに!
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