日本のタクシーが自動ドアのわけ

今日のお題はこれじゃよ。
ドラ博士
あー。よく海外の旅行客が驚くって話は聞きますよね。
逆に日本から海外に旅行に行った人や日本に長くいた海外の方が自国に戻った際にタクシーのドア開けっ放しで降りて怒られちゃった、とか。
ドライバーさん
日本のタクシーの自動ドアは…「おもてなし」精神から生まれている…んじゃよ。
おもてなし…?
ドライバーさん
ンム。何気に凄く便利なタクシーの自動ドアじゃけど、海外ではほとんど普及しておらんじゃろ?
ドラ博士
そうみたいですね。ほとんどってことは、自動ドアのタクシーって日本だけじゃないのか。
ドライバーさん
香港とマカオにはあるそうじゃよ。発祥は日本じゃけどね。
ドラ博士
ほー。
ドライバーさん
そもそもなんじゃけど、日本人の考え方がちょっと特殊なんじゃよね。
ドラ博士
と、いいますと?
ドライバーさん
感覚の問題じゃからちと説明が難しいんじゃけどね。
海外のサービスの場合は、「顧客の要望に応えて行う具体的な行為や提供されるもの」で、そこは「対価ありき」なんじゃよ。
ドラ博士
ふむふむ。
ドライバーさん
例えばじゃけど、高級レストランなんかじゃと、高級に見合ったサービスを提供する。
その代わりサービスの分お値段はお高め、とかじゃね。
日本の場合は、例えば高級レストランでも飲み屋街の居酒屋でも、丁寧な挨拶じゃったり、膝をついて接客じゃったり、その接客で金額は変わらんよね?
ドラ博士
そうですね。コンビニとかでいらっしゃいませ、ありがとうございましたってので驚く海外の人も多いって聞いたことがあります。
ドライバーさん
日本の場合は、サービスの中に「おもてなし」が含まれる場合が多いんじゃよね。お客様は神様ってのが根付いておるというか。「おもてなし」は、心遣いっていうかのぅ…。
こんなだったら嬉しいなーっていう、相手の立場に立って何をしたら喜ばれるかっていう気配りじゃね。クオリティや良質を求めるのがサービスに置けるhospitalityで、日本は相手を気遣う思いやりみたいなものが根底に根付いてるんじゃよ。
ドラ博士
えーっと、それとタクシーの自動ドアにどんなつながりが?
ドライバーさん
タクシーの自動ドアは、愛知県にあるトーシンテックという会社が開発したんじゃけどね。
この辺が日本らしいおもてなしなんじゃけど、1950年代後半じゃね。当時タクシーの運転手さんは、お客さんが乗り降りする際に、運転席側から回ってお客さんの為にドアを開けてあげることが多かったそうな。
ドラ博士
あーー…。それは確かにおもてなし…。
ドライバーさん
じゃろ? で、タクシーの自動ドアを開発したトーシンテックって会社の創業者の岡田さんって方が、タクシー会社の関係者の人から、「運転席に座ったままドアの開閉が出来れば楽なのに」ってな話を聞いて、開発をしたそうなんじゃよ。
ドラ博士
優しい…!
ドライバーさん
まぁ、お客さんが自分でドアの開け閉めすると事故に繋がったりするケースもあったそうじゃし、需要があると考えたみたいじゃね。
んで、1964年の東京五輪の時に、日本のおもてなしアピールってんで、大手タクシー会社が導入して、今ではデフォルトで自動ドアが付いてるようになったんじゃよ。
ドラ博士
荷物を持ってたりすると、あれ便利なんですよね。
なんで海外では普及しなかったんでしょう?
ドライバーさん
まず、そもそも海外では運転手がドアを開けるサービス自体がほぼ無いじゃろ?
客がドアを開けるのが主流じゃからねー。
特に不便を感じておらんのだから、必要性も感じんのじゃろ。
ドラ博士
あー、そっか、そもそもおもてなしで車から降りてドア開けてあげる文化が無いから海外で需要が無くても不思議じゃないですね。
ドライバーさん
後は日本車に比べて海外の車は大きくて重かったってのもあるそうじゃね。
他にも個人タクシーの需要が多かったり、メンテナンスが大変だったり、色々あるようじゃよ。
ドラ博士
あー。なるほど。
…ところで、あの自動ドア、海外の人がつい癖で閉めちゃって怒られた、なんて話を聞きますけど、あれってお客が勝手に開閉しちゃいけないんですかね?
急いでいると勝手に開ける人とかも出そうな気がしますが。
ドライバーさん
それはやったらだめじゃよ…。
ドライバーさんの怪我とか故障につながる可能性もあるでの。
ドラ博士
えっ!?
ドライバーさん
今はミニバンタイプの電動で開閉してくれるヤツもあるんじゃけど、セダンタイプのタクシーは運転手さんの手動なんじゃよ。
座席の脇にレバーがあってそれを引いてドアの開閉を行うレバー式ってのが主流なんじゃけど、ドアが閉まっちゃわないように手や足で押さえてたりするから、反動で運転手さんが怪我しちゃったり故障しちゃう場合があるんじゃよ。
ドラ博士
うわー…。それは確かに怒られちゃっても仕方がないかも…。
とはいえ、理由を知らないと、間違っただけじゃんって不快な思いをしそうですし、この辺の配慮もおもてなしが出来ると良いですね。
優しく声かけするだけでも防げそうですし。
ドライバーさん
そうじゃの。まぁ、それでも日本のタクシーは世界から高い評価を受けているんじゃよ。
空気清浄機を取り付けているタクシーじゃとか、AIの通訳機を搭載したタクシーとか、おもてなし精神の進化をばんばん遂げておるんじゃ!
後は個々のドライバーさんのさりげない配慮もじゃね。
例えば話かけてくれるお客さんとは積極的に話して、無言のお客さんは邪魔をしないようにする、とか、小さな音量でリラックスできる音楽をかけてくれているとか、気持ちよく過ごしてもらう為に、その運転手さんなりの配慮をもって送迎をしてくれるタクシーも多いんじゃ!
ドラ博士
まさしくおもてなしですね。今度タクシーに乗った時は、運転手さんに話しかけてみようかな。
ドライバーさん
美味しい食事を提供してくれる店じゃったり、観光スポットじゃったり、聞いてみると良い話が聞けたりもするからの。
送迎の間に会話を楽しんでみるのもおすすめじゃよ!
話すのが苦手な運転手さんもおるから、無理強いはせんようにね。
ドラ博士

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次回は7/4更新予定です。