日本鉄鋼連盟(鉄連、今井正会長、東京都中央区)がホームページに設置した「鉄鋼トラック物流目安箱」。昨年12月に立てた「自主行動計画」の中で、2024年問題をはじめとする鉄鋼トラック物流における諸課題の解決、改善を目的として、同目安箱の設置を計画。5月30日に運用を開始して、約半年が経過した。

 

荷主に直接ものを言うことができる「鉄鋼トラック物流目安箱」が設置されたのには、24年問題への対応を怠れば鉄鋼業界の物流が止まってしまうという危機感と、鉄鋼業界として「自主行動計画」を立てなければならないという背景があった。

 

鉄連は、鉄鋼業の物流における「2時間以内ルール(荷待ち・荷役作業などにかかる時間を2時間以内に収めるルール)」への対応を中心に、物流効率化や課題解決に向けた各社の取り組みを支援する「自主行動計画」を策定し、その中に「鉄鋼トラック物流目安箱」設置の計画を盛り込んだ。

 

鉄連では10年以上、全ト協の鉄鋼部会と東ト協の鉄鋼専門部会と一緒に毎月会合を開いていた。そこで目安箱のアイデアに賛同と協力を得たことから5月の設置となった。

 

目安箱への投書は、トラック協会の会員以外の鉄鋼物流関係者からも広く受け付けている。全ト協と東ト協のホームページで掲載しているが、現状は周知が十分であるとは言えず、今後の課題となっている。

 

鉄連は「目安箱の設置は、現場で生じている問題の実態と状況を把握することが目的」としており、「問題があるかどうかも含めてメーカー側も現場の状況を把握したいと考えている」という。

 

なお、複数の鉄鋼会社から、「目安箱に投書する際には、可能な範囲で、製鉄所名・施設名・貨物名など、具体的な情報を記入してもらえると、課題の解決・改善に向けて対策を検討しやすい」と、協力を呼びかけている。

 

目安箱には運用開始からこれまでに、数十件の投書が来ており、「荷待ち時間についての投書が多いことが分かった。一方で、設置したことで、サプライチェーン全体の問題もわかるようになってきた」としている。

 

この「鉄鋼トラック物流目安箱」について、関東で鋼材輸送を行っている中小規模の運送会社では、「大手メーカーは、荷待ち時間分のお金は出してくれるし、相談にも乗ってくれるが、特約店などの方が問題で、目安箱を通して改善してもらえるのか期待する」と話している。

 

これに対して、鉄連は「生産量が下がってきているので、物流量も減って仕事も十分に提供できていないが、鋼材のトラックドライバーは非常にスキルが高く、簡単に代わりをみつけることができない。サプライチェーンのどこが欠けても鉄鋼業界は良くならないので、現場の問題解決や効率化への対策に取り組んでいかなければならない」と、目安箱の意義を語っている。

 

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