熊本の地で、全国で最年少のトラック協会会長が誕生した。去る6月15日に開催された熊本県トラック協会の総会で、住永豊武会長からバトンを受け、下川公一郎氏(城東運輸倉庫社長)が新会長に就任した。青年部会長、親会理事、副会長を歴任し、しっかりとトラック協会運営を学びながら、人脈を広げてきた。それだけに役員改選では満場一致で会長就任が決まった。まさに満を持しての会長就任となった54歳の新会長に、周囲の期待が高まっている。

大学を卒業してすぐに家業である同社に入社し、父親である先代の下でドライバーからスタートしたという下川会長は、平成13年6月に31歳で社長に就任したという。荷主の担当者が40代と若い一方で、対する運送会社社長が60代では話が合わなくなる。若返りが必要と感じた先代は、下川会長へ迷いもなくバトンを渡した。

31歳で会社の先頭に立ってかじ取りを行う一方、トラック協会の活動にも参加する。熊本には、全国で最初にできた青年部組織、「継運会」がある。

継運会に入り、青年部活動をスタートさせると、35歳で青年部の会長に就任、それから9年間会長を務めた。その間、全国組織である全ト協青年部の活動に参加、全国を飛び回り、ネットワークを広げた。

平成25年に協会本部の理事に就任すると、2年後の平成27年に46歳で副会長に就任する。

協会運営に執行部として携わるようになり、トラック協会の役割などを学んだという同会長は、4年前に筆頭副会長として、それ以来住永会長を補佐してきたという。

それだけに、今回の役員改選では、異議を唱える声もなく、満場一致での下川会長誕生となった。

下川会長の方針は、「ドライバーファースト」「ドライバーさんたちが、しっかりと生活できるような環境にすることが我々の役割」と、単純明快だ。

ドライバー不足は全国的にも深刻な問題だが、足元の熊本でもそれは変わらない。それどころか、状況はさらに分が悪い。

同会長によると、熊本には、半導体関連の工場などが相次いでできた。経済は活性化が進むが、人手確保がさらに難しくなった。半導体関連の工場では、時給が2000円を超えるところもあるという。

そうした中で、人手を確保するならば、それ以上の賃金を払わねばならない。現状の運賃でそれが可能かといわれれば難しいのは火を見るよりも明らかで、人手不足の深刻さは日増しに強くなっているのだという。

そのためにも、適正運賃の収受は必須で、会員である運送会社の経営者に適正運賃収受の呼びかけを行っていく一方で、積極的に荷主の理解を求めていく。

さらに、行政や政治に対し、予算取などの陳情活動にも取り組んでいくとしている。

◎関連リンク→ 公益社団法人熊本県トラック協会