空気が乾燥して静電気が発生しやすいこれからの時期、静電気が大きなダメージを与える精密機器輸送では、ESD対策(静電気放電対策)が大きな課題となる。一般的な養生板では、台車に溜まった静電気がなかなか放電されず、積載物にまで影響する恐れがあるが、マルイチ(神奈川県厚木市)の「導電性養生板カイロン」は溜まった静電気を外へ逃がし、その後も帯電を防ぐという。

同社担当者は、「導電板の性能で特に重要な数値が『抵抗値(Ω)』だが、カイロンは10⁴~⁶Ωで、実測値では平均10³Ωを達成している。これは導電性養生板として最高性能」と胸を張る。

 

また、「帯電防止製品には、界面活性剤を製品表面に塗布して膜を付与する『揮発性帯電防止製品』と原材料に帯電防止剤を練りこんで持続的な効果を付与する『永久帯電防止製品』が存在するが、カイロンは後者。半永久的に性能を持続する」と付け加える。

 

同担当者は、「主に半導体を搭載した精密機器の移設作業や、ほこりを持ち込んではいけないクリーンルームへの搬入作業で活躍している」と説明。「大量のスーパーコンピューターを搬入する際に活用されるなど好評」だという。

 

さらに、「一般的な養生板では、床からはがす際に溜まった静電気が人体へ放電されて強い痛みを感じることがあるが、カイロンでは体に放電される静電気が軽減されるため、スムーズに撤去することが可能」とも。

 

なお、「材料には、高品質なPP(ポリプロピレン)のバージン材を使用しているため、養生板としても長期間利用頂ける」とし、「特に5mm厚板は耐久性も高く、重量物を移動する際に最適」だという。

 

同社では、同製品の3ミリ厚板の廃盤も決定。今月末で生産を終了し、在庫がなくなり次第、販売終了となる。

 

同担当者は、「重量物の床養生としてご利用頂くことも多いため、3ミリ厚と5ミリ厚の2タイプを用意していたが、高耐久で安心感のある5ミリ厚へ人気が集中していた」と説明。「一度に大量ロットで生産している5ミリ厚に比べ、小ロットの3ミリ厚は製造コストが高騰しており、結果、3ミリ厚が5ミリ厚の価格より高くなるというねじれ現象が数年前から起きていた」という。「ユーザーから価格差の矛盾点についてご指摘を受けていたことに加え、最近は5ミリへの切り替えも増えていた。3ミリ厚をさらに値上げすることも厳しいため、廃番を決定した」。

5ミリ厚板の規格サイズは、「910mmx1820mm」「1000mmx2000mm」の2種類で表面には鏡面加工が施されている。希望サイズへのカット加工も可能。耐久性も高いため、重量物を運搬する際の養生板としても利用できる。

 

◎関連リンク→ 導電性養生板カイロン