日清食品(安藤徳隆社長、東京本社:東京都新宿区)と全国農業協同組合連合会(JA全農、野口栄理事長、同千代田区)はこのほど、物流と原材料調達・供給において包括的な連携を開始すると発表した。

 

今回の連携は、社会的課題でもある物流クライシスに対応するために行われるもので、調達物流(垂直連携)に踏み込んだ取り組みとなり、「ラウンド輸送」を行う2つのスキームを確立した。

 

一つは、岩手~茨城間のラウンド輸送で、岩手にあるJAおよびJA全農の米穀保管倉庫から関東の精米工場へ米穀を輸送、輸送したトラックで茨城にある日清食品の生産工場から岩手の同社製品倉庫へ製品を輸送する。これにより、従来に比べてトラック1台当たりの実車率が約12%高まる見込み。

 

もう一つは、福岡~山口間のラウンド輸送で、福岡にあるJA全農の精米工場から山口にある日清食品の生産工場へ原料米を輸送した後、同工場で製造された製品を同じトラックで福岡にある同社製品倉庫へ輸送する。

 

この、「調達物流」と「製品物流」を組み合わせたラウンド輸送は、荷下ろし地と積込み地が同じであるため、荷物を下ろしてから次の荷物を積むまでの距離がゼロ化され、ドライバーの労働時間を7%削減できる見込みとしている。

 

日清食品取締役の深井雅裕氏(写真右)は「荷主同士が行っている共同配送(水平連携)に比べて、全農と取組む調達物流(垂直連携)は取引条件に関わる情報が必要となるので難しい部分もあったが、信頼関係によって実現した」という。

 

JA全農の高尾雅之氏(同左)は「他社との連携については現在、具体的に協議はしていませんが、ラウンド輸送の取り組みは、参加者が増え、物量が増えることによって、より効果が大きくなると確信しておりますので、将来的には連携先を増やしたい」としている。

 

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