自動点呼、特にロボットを活用した点呼への関心が高まっているが、点呼を受けるドライバーの心情はーー。

弊紙ではトラックドライバー情報サイト「ブルル」の協力を得て、ドライバー194人を対象に「点呼を受ける際、人間(運行管理者/補助者)とロボットのどちらが良いか」というアンケートを実施した。結果は、「ロボットによる点呼が良い」と答えたドライバーが37.6%で、「人間による点呼が良い」と答えた35.1%を僅差で上回った。

 

あるドライバーからは、「早く機械化を広めてほしい」とロボットでの点呼を待ち望む声が。同ドライバーの営業所では、「特に朝イチ、昼イチは点呼のために5人も10人もドライバーが並んでいる状況」なのだそう。さらに、「運行管理者は、点呼中にも電話対応している」と、膨大な業務に追われる担当者に心を痛めていた。

 

一方、「現状では人間が良い」と答えたドライバーは、自身が勤める営業所に今年から導入された自動点呼機器への不満を漏らす。「なかなか顔認証が反応しない。そこで止まると何もできない」のだという。

 

同ドライバーは、「いろいろ試してもダメなときは諦めてやらずに帰る。当初は管理者に、『点呼忘れてるよ』と突っ込まれていたが、最近は諦めたのか何も言われない」とし、「まともに点呼できるなら、人間でもロボットでもどちらでも良い」と付け加える。

 

ロボット派のなかには、「対面点呼しているが、多少、体調が悪くても代わりがいないから休めない。点呼自体がそもそも無意味」と疑問を持つ声も。「行政の言いなりで、ただ点呼の実績を記録しているだけになっているので、無駄に人員を使うより、ロボットの方が良い」と消極的にロボットを推す。

 

「点呼していない」驚きの27.3%

 

実は、アンケートには「そもそも点呼をしていない」という第3の選択肢を用意していたが、結果は27.3%のドライバーがこれを選択。驚くべきことに約3割に迫る勢いだった。

 

あるベテランドライバーは、「以前勤めていた超ブラック運送会社の運行管理者は名義貸しだった。 入社から退職までの1年半、点呼はもちろん、顔を見たことがなかったし、声も聞いたことがなかった。在職中にアルコールチェックを一度もしなかった」と明かす。

 

アルコール検知器や点呼システムの販売を手がける商社の社長も、「夜間点呼なんて、そもそもしていない会社が多い。3割も満たないのではないか」と指摘する。「時間が表示されるレシートタイプのアルコールチェッカーを出勤時にセルフで使わせて、日報に貼り付けて点呼したことにしている会社が大半」だという。

 

「事務所の2階に社長の住居があるような会社でも、夜中の2、3時に社長が起きてきて点呼している会社なんてほとんどない。こんなことを言うと真面目な運送会社には怒られるかもしれないが、これが現実」とも。

 

また、「自動点呼への問い合わせはそれほど増えていない。理由は明白で、出発時(業務前)が認められていないから。関心を持つ事業者がいても、説明すると『なんだダメなのか』ということになる。そこを規制緩和してもらわないと、普及は難しいのではないか」と語る。