藤倉運輸(藤倉泰徳社長、東京都足立区)は健康経営に注力し、2022年、2023年の2年連続で「健康経営優良法人」に認定されている。今年7月には、アクサ・ライフケア(同台東区)が提供している「産業医プログラム」の「ベーシックプラン」を導入。労働安全衛生法に定められた「ストレスチェック制度」に準拠した形でストレックチェックの実施を支援するサービスで、Webもしくは紙でストレスチェックを行い、高ストレス者と判定された社員は医師による面接指導などが行われる。

年1回のストレスチェックは「健康経営優良法人」の認定要件のひとつだが、藤倉運輸では今年実施分から同サービスを活用。

現状、社員の中に大きな問題は見られないというが、藤倉社長は、「社員が『自分が知る』こと、そして『みんなはこういうことに不満を持っている』と、会社側も『会社を知る』ことができ、不満点などの解決につなげていくことができる」と効果を説明する。

同サービス導入企業の従業員は、「チャット型医療相談」の利用も可能。病院へ行くべきか迷うような症状があったり、健康診断の結果が気になったりした場合、24時間365日、気軽に専門医に相談できる。「今はかかりつけ医を持たない人も多いので、こういう存在は心強い」(同社長)。

同社が健康経営に力を入れ始めたのは3年ほど前。手のひらをかざすだけで野菜の摂取状況が分かる「ベジチェック」の導入をはじめ、さまざまな取り組みを行ってきた。

藤倉社長は、「ドライバーの高齢化も進んでいる。国交省が『健康起因事故をなくす』と強く言っている中で、一件でも事故を予防するには、一人ひとりの健康が必要不可欠」と想いを明かす。

自社HPには「健康経営」のページを設け、健康に関する施策を広く紹介し、求職者など社外へのアピールにもつなげている。健康経営の取り組みを推進する総務部の永江美奈子主任は、「おかげさまで、求人を出せば充足する状況が続いている。前回募集した際には『HPにあった健康経営の取り組みを見て応募した』という人も。よく頑張ってくださる人で、いい方に巡り会えた」と目を細める。

同社長は、「新たな職場を探している人は不安でいっぱいな中、『健康についてきちんと考えてくれている会社かどうか』をしっかり見ている」と分析。「応募がないと嘆くよりも、お金も時間もかかるが、こうした取り組みを行ったほうが長い目で見れば有効」と話す。

その上で、「当社も現状は人が足りているが、それでも5年後、10年後の人手不足解消にはなっていない」と指摘。将来を見据え、健康経営の取り組みをさらに加速させていく考えだ。

社内にも変化が。同主任によると、「社員から『健康』という言葉を聞く回数が増えてきた」という。定期開催の全体会議やグループ会議、外部講師による講義、さらには普段のコミュニケーションを通して、健康の重要性を繰り返し伝え続けてきた結果と言える。

「『健康経営』と改まって言われなくても、みんなが当たり前に健康になれるように」と、藤倉社長は理想像を口にする。

「現状は60歳定年制だが、変わらずに働けるなら65歳でも70歳でも同じ仕事を続ければいいと考えている。『会社側もお給料を支払えるよう頑張るから、社員も元気でいられるよう頑張ってよ』という気持ち。一人ひとりが健康なら、新しい人を入れるスパンも伸びるし、会社も健康になる」

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