【給与DX編】50

「コロナ禍で頑張る運送業経営者を応援します!」というシリーズで新型コロナウイルス影響の下で「令和」時代の運送業経営者が進むべき方向性、知っておくべき人事労務関連の知識・情報をお伝えしています。

前号に続き「給与DX」をテーマに運送業経営者が知っておくべき事項について解説してまいります。(その9)

給与DXには「時間系データ」と「出来高系データ」が必要です。

1.出来高系データ設計のポイント
出来高系データとして「運賃収入」、「コース手当」・「コース別運行回数」、「配達個数」、「走行距離数」、「積み・下ろし回数」などのデータ種類があります。

データ収集については「運賃請求システム」や「配車システム」と連携するといいでしょう。

「配車」に関してはエクセルなどの表計算ソフトを活用したり、ホワイトボードや手書き帳票で実施しているケースがありますが「配車システム」を活用している会社は多くはありません。

出来高歩合給の設計について「運賃収入」と切り離し「運行コース別単価」に「コース別運行回数」を掛けて計算している会社の場合、「給与DX」を目指すのであれば「配車システム」連携させることが得策です。

配車の際に「運賃」「作業量」「難易度」などを勘案した適正な「単価」設定と共に配車する仕組みを作ります。

その場合に、計算基準を「1運行当たり」あるいは「仕事」当たりとする必要があり、「1日当たり」とならないようにする必要があります。「1日当たり」で計算するものは「日給」(所定内手当)であり「出来高」とならないためです。

2.収集のポイント
(1)ドライバーに作業させない
「運行単価」だけではなく「配達個数」「積み・下ろし回数」を使用する場合も含めて、データ収集の際に「ドライバーに作業させない」とする事が必要です。

ドライバーにボタンを押させることで回数把握しようとしている会社がありますが、押し間違いも多いため毎月の回数確認に時間を要しています。給与DXを設計する場合、「ドライバー作業」は避けた方が得策でしょう。

(2)事務手間工数を下げる
給与DXを何のために進めるかというと、「事務手間の削減」が大きな目的の1つです。多くの中小運送会社で給与計算に多くの手間がかかっています。

そのため給与DXにより「事務手間」「事務工数」を削減する事が必要となっています。DXのためにさらに事務手間が掛かるような事になる事は避ける必要があります。

そして、コスト面の「全体最適」を目指す必要があるでしょう。