MS&ADインターリスク総研(東京都千代田区)はこのほど、潜在的な危険箇所を評価・抽出して交通事故の発生を未然に防止する「事故発生リスク AI アセスメント」の提供を開始した。私道を除くすべての公道と交差点の事故リスクをブラウザ上のマップに表示する。

同サービスは、実際の交通事故発生箇所だけでなく、道路構造や急加減速といった走行データ、人流など、事故と相関関係の高い要因のデータを組み合わせ、AIを活用した独自のリスク評価・分析モデルにより、交通事故発生リスクを評価・可視化するもの。

同社DI企画部上席コンサルタントの佐藤智哉氏は、「交通事故をさらに減少させるためには、再発防止型だけでなく、未然防止型の対策も重要」と切り出す。

交通事故が起きた場所はマップに青い点で表示。道路上には事故発生の有無にかかわらず、緑から赤の線で事故リスクが可視化され、交差点も同様に、緑から赤の色分けした点でリスクを「見える化」している。

リスクは0.0から1.0の間で数値化し、色分け。1.0に近づくほど事故リスクが高くなり、赤色で表示される。

「ドライブレコーダーの事故データや地形データといったビッグデータをもとに、過去の事故と類似している環境かどうかなどを分析し、評価している」とし、「そのため、まだ事故が起きていない地点でも赤く表示されることもあり、事故の未然防止に役立てられる」と胸を張る。

また、時間帯や被害者対象年齢などの条件による絞り込み表示機能も。「夜間配送でより注意すべき箇所や高齢者や児童の事故防止に一層注力したいといったニーズにも応えられる」という。

指定エリア内でのリスク降順表示や地図上でのメモ保管など、実務を円滑にする補助機能も搭載。一覧データはCSVで出力でき、既存システムに取り込むこともできる。同氏は、「さまざまな活用法が考えられ、可能性は無限大」と語る。

開発にあたり、運送事業者へ実施したヒアリングでは、「対策はしているものの、時間帯や道路ごとのノウハウが少なく、 新たな交通対策を模索している」「事故を少なくするためのルート策定に客観的なデータを活用したい」といった声が寄せられたという。

運送事業者での活用法として、「人材育成・教育や配送ルートへの考慮」を挙げる同氏。「新人ドライバーへの指導や配送ルートを決める際の参考にしていただけたら」と呼びかける。また、「事故を未然に防ぐ取り組みとして、荷主や地域などへのPRにつながるのでは」とも。料金は、保有台数51―500台で年間110万円が目安。「台数や施設数によって変動する」という。

 

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